入試シーズンは、国公立大学2次試験の前期日程が終了し、終盤を迎えている。すでに私大の合格者は続々と決まっており、まもなく学生の新入学や新生活の準備が本格化する。様々な業界で異業種企業の新規参入が話題になるなかで、不動産関連のみならず業界の枠を越えて学生寮ビジネスに注目が集まっている。

【連載】人口減少時代

キャンパスヴィレッジ椎名町

 日本全体では人口が減少しており、首都圏においても新築マンションの供給戸数は減少傾向が続いている。その一方で、大学進学率は増加しており、大学生の数は横ばいで推移している。今後もこのトレンドは続くものとみられ、こうしたことが学生向け住まいビジネスが熱を帯びる背景にある。

 不動産建設をとりまく状況は近年、駅から近い土地については、分譲マンションや、賃貸マンション、商業施設やホテルといった大型の建物向けニーズが高く、土地取得のための業者間の競争が過熱している。

 これとは対照的に、学生向けの住まいは、駅から近い土地でなくても、大学からの距離が近ければ一定の需要が見込めるため、これまで商業用不動産として活用が難しかった土地でも開発の可能性が出てきている。

 そうしたこともあって、大手不動産はいま学生レジデンスに注目している。学生レジデンスとは学生寮や学生マンションなど学生向けの賃貸住宅の総称。東急不動産と学生情報センターはこのほど、東京・豊島区長崎で開発を進めていた「キャンパスヴィレッジ椎名町」を竣工。3月から入居を開始する。
 
 かつての学生寮からイメージされがちな大浴場や共有トイレなどはなく、バス・トイレ別はもちろんのこと、洗面所についても独立して設けるなど、若い学生向けに快適性を確保している。また共用部には入居者同士でシェアするリビングキッチンやカフェテリアなども設けており、入居者のコミュニティー形成ができるような構造になっている。

 東急不動産はこのほか、京都市の西京極エリアに「キャンパスヴィレッジ京都西京極」(仮称)の建設も予定しており、学生レジデンス市場を積極的に開拓してゆく方向だ。

 学生レジデンスが選ばれるようになった理由は、入居する学生とその保護者の意向をうまく両立させているからだ。学生はバス・トイレ別や良好なネット環境、学校からの距離などを重視した物件を求める傾向が強い。

 一方、保護者は子どもに初めての一人暮らしをさせる不安から、セキュリティー面や健康面、緊急時の対応などを重視する。こうした双方のニーズを学生レジデンスは満たしているのだ。

 大手不動産以外でも大手商社の伊藤忠商事が川崎市内に慶應義塾大学の国際学生寮を開発しているほか、小田急電鉄が神奈川県藤沢市に学生レジデンスを開発するなど、様々な業界が関心を寄せている。

 外資系企業も日本の学生向け不動産市場に注目しており、2018年は「学生レジデンス元年」となりそうだ。

(3Nアソシエイツ)

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