独裁政権による失策で経済危機に陥っている南米ベネズエラで、急速に電子マネーが普及しています。猛烈なインフレで紙幣が不足しており、庶民は生活を守るために一気に電子マネーに移行しました。しかし、困ったことにマドゥロ政権は、こうした状況を逆手に取り、独自の仮想通貨ペトロの発行を開始。一部からはその不透明性が指摘されています。

ベネズエラが独自の仮想通貨「ペトロ」を発行した(ロイター・アフロ)

 ベネズエラは世界でもトップレベルの石油埋蔵量を誇る国ですが、国家経営は安定していません。マドゥロ政権は、庶民からの支持を取り付けるため、バラマキ政策を実施するとともに価格統制を実施しましたが、国内産業は疲弊し、財政も悪化してしまいました。こうした状況に原油価格の下落や米国による経済制裁が加わり、外貨や物資が不足。インフレが一気に進行し、2017年の物価上昇率は2500%を突破しています。

 紙幣はもはや紙切れ同然ですが、それでも日々の生活にはキャッシュが必要です。政府は紙幣の印刷を急いでいますが、インフレに追いつかず、紙幣が足りないという状況に陥っています。困り果てた庶民が頼ったのはアプリを使った決済サービスです。

 ベネズエラはネット接続環境が悪いといわれていますが、それでも多くの人が、生活のため電子決済を活用しています。また一定以上の資金がある人は、自国通貨をビットコインなどの仮想通貨に換えて資産の劣化を防いでいるといわれています。

 経済が危機的な状況に陥っていることから、マドゥロ政権は弱気になっているのかと思いきや、どうもそうではなさそうです。政権側はこうした状況を逆手に取り、何と独自の仮想通貨ペトロを発行しました。

 ペトロは仮想通貨イーサリアムの技術を活用しており(真偽の程は不明)、政府が管理する石油資源が担保になっていると政府では主張しています。しかし、本当に価値が保たれるのかは何ともいえず、一部からはその不透明性が指摘されています。そのような中、マドゥロ大統領はペトロに続き今度は金を裏付けとした仮想通貨「ペトロ・ゴールド」を導入すると発表しました。

 仮想通貨ペトロに裏付けがあるのかは別にして、独裁政権が引き起こした経済危機への対応策として、仮想通貨というキーワードが出てきたことは注目に値します。ベネズエラでの出来事は、世界経済が新しい時代に入ったことを象徴しているのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

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