古河橋

 古河市兵衛は、まだ成功を収めるずっと前から、大物感を醸し出していたようです。人を見る目のある人には、「この人に賭けてみたい」と思わせる何かが見えたのかもしれません。

 そして銅山王として財を成す前には、生糸や米の取引も手がけていました。大もうけしたり、大損したり、市兵衛の投資家人生を市場経済研究所の鍋島高明さんが解説します。


   大福餅のばばから借り受けた200両

 大人物ほどエピソードが多い。古河市兵衛も逸話の多いことでは安田善次郎や岩崎弥太郎にひけを取らない。「古河市兵衛と大福餅のばば」の巻とは-。

 市兵衛が京都の富商小野組の小僧か中僧のころ、露店で大福餅を売るおばあさんがあった。このばあさんは人を見る目があったとみえる。市兵衛の風采がただものではないのを見て取ると、その才能を伸ばしてあげたいと考えた。ある日、市兵衛を呼んで言った。

 「私は今、200両の貯金がある。これをお前さんに上げるから、商売でもなんでもやってみなさい」

 そう言いながら2分金で200両を出した。市兵衛は驚いた。

【連載】投資家の美学

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