パソコンの周辺機器が増え、電源ケーブルやUSBケーブルにうんざりしている人も多いのではないでしょうか。USB PDという、従来よりも約6.7倍の大きな電力を供給できる新規格のUSBが普及すれば、そんな困りごとがなくなるかもしれません。

最大100Wの給電が可能

最大100Wの給電が可能なUSB PDに対応したUSB Type-Cコネクタ(提供:アリオン)

 USBは、パソコンと周辺機器を接続するための規格のひとつです。上下の向きを気にせず接続できる「USB Type-C」が普及しはじめていますが、さらに最近になって注目されているのが、USBの給電規格「USB PD(Power Delivery)」です。

 従来のUSBの規格と違う最大の特徴は、その高い給電能力にあります。コネクタ形状こそ、USB Type-Cと同じですが、給電能力は、これまでの最大15W(5V/3A)から、最大100W(20V/5A)にまで向上しました。

 USB PDに対応する機器であれば、それぞれの電源コードをなくせるというメリットに加え、消費電力60W程度のノートパソコン、同15W程度の複合型インクジェットプリンター、同20W程度の外付けハードディスクドライブを一度に動かせるというメリットもあります。

 ほかにも、同40W程度 の24型液晶モニター、同36W程度の外付けブルーレイディスクドライブ、同10W程度スキャナーを組み合わることも可能です。

USB PDに非対応の場合と対応の場合

 パナソニックは、2018年1月発表のノートパソコン「Let's note(レッツノート)SV7」に、同社のパソコンでは初めてUSB PDを採用しました。富士通もUSB PD採用のパソコンのラインアップを拡大するほか、2017年12月に発表したスマートフォン「arrows NX F-01K」でもUSB PDを採用しました。

 民間認証機関のアリオンでは、2017年に試験した全USB対応製品のうち、USB PD製品の割合が、同年第1四半期(1~3月)の約4%から、同年第4四半期(10~12月)には約20%に増えました。同社では「スマホではこれから採用が進むと見られ、USB PD製品の試験比率は引き続き増えそうです」としています。

 採用が拡大しつつあるUSB PDですが、同機関では、「将来は、USB PD対応のUSB Type-Cポートが住宅内でコンセントと併設されたり、自動車のシガーソケットに置き換わったりする可能性もあります」と予想します。

 自動車内の冷蔵庫にUSBケーブルで電力を供給することも不可能ではなく、キャンプや車中泊で利用できるUSB家電のバリエーションが増えるかもしれません。

 もっとも、家電量販店のヨドバシカメラによると、「店頭でこの規格に関して問い合わせを受けるケースは、ゼロではないがまだ少ない」としており、市場での認知度向上はこれからのようです。

(取材・文:具志堅浩二)