暴力事件の被害者、貴ノ岩が3場所ぶりに復帰するが、師匠の告発問題がどう影響を与えるのだろうか(写真・アフロ)

 角界を激震させた元横綱・日馬富士の暴力事件の被害者、貴ノ岩(28、貴乃花部屋)が、今日11日に初日を迎える大阪場所で、いよいよ3場所ぶりに土俵復帰する。だが、9日、貴乃花親方(元横綱)が内閣府公益認定等委員会に日本相撲協会を告発した事が発覚。事件の当事者への聴取や、自身の理事解任について「重大な疑義がある」という告発だが、表沙汰になったタイミングが、弟子の復活場所の直前になったことで、より一層の注目を浴びることになった。

 告発の内容の是非を問う以前に、場所後に行うなら、まだしも、このタイミングで、師匠が弟子にプレッシャーをかける理由はよく理解できないが、貴ノ岩の復活に影響は出ないのだろうか? 果たしてどんなパフォーマンスを見せることができるのか?
 
 貴ノ岩は昨年10月25日、巡業先の鳥取で元日馬富士からカラオケのデンモクなどで頭部を殴打され、裂傷を負い、九州、初場所を続けて休場した。
 3月1日、春場所宿舎である京都・宇治市の宗教法人・龍神総宮社で事件表面化後初めて取材に応じた際「少しずつ体を動かしています」「まだまだしっくり来ていない。相撲を(十分に)とっていないので」と現状を明かした。

 復帰場所で貴ノ岩がクリアしなければならない課題は「相撲勘」と「スタミナ」だ。2場所も実戦を離れた不安感、まして場所開幕直前の事態再燃で異常な注目を浴びることになり、相撲に集中するのが難しい精神状態にある、とも考えられる。 
 また本人が言うように、事件後は、長く治療や休養に充てたため、稽古も四股、すり足、てっぽうなど基礎訓練が中心で、実際に相撲を取りだしたのは、開幕1週間前の3月4日からだった。その番数も1日4、5番程度。つまり合計30番前後の“実戦”だけで本番を迎えねばならない。万全にはほど遠い数だ。

 貴乃花部屋の稽古は角界有数の厳しさで知られ、貴ノ岩も平幕の貴景勝、十両の貴源治、貴公俊という関取相手に手抜きなしの相撲をとる。だが、本場所の土俵とはやはり違う。勝敗の大勢を決める立ち合いは、稽古のようにまともに当たって来ると限らない。変化に対応できるのかなどの不安が残る。これが「相撲勘」と言われるもの。また15日間を戦いきるスタミナがあるのかどうか、という問題も残っている。

 対戦相手が“貴ノ岩潰し”に目の色を変えてくる可能性も否定できない。

 当面の対戦相手としても因縁含みの相手がいるのだ。加害者である元日馬富士のいた伊勢ケ浜部屋には、西十両8枚目、誉富士、東十両12枚目、照強の2人。誉富士は幕内経験者で、照強は小柄ながら、剛胆な取り口で有名とあって一筋縄ではいかない。
 “間接的加害者”の横綱・白鵬がいる宮城野部屋には、西十両14枚目、炎鵬がいる。169センチ、95キロで関取一の小兵だが、スピード、戦術に優れる。デビュー7場所で十両に昇進した勢いも怖い。
 

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