[写真]昨年11月に開かれた衆院予算委員会で森友学園問題に関しする財務省理財局長の答弁を聞く安倍晋三首相(右端)、麻生太郎財務相(右から2番目)(Natsuki Sakai/アフロ)

 開会中の通常国会では、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書書き換え疑惑をめぐり紛糾しています。疑惑解明が進展しない中、野党を中心に「国政調査権を行使せよ」という言葉が聞かれます。「証人喚問」といえばイメージが湧きましょう。でも「国政調査権」という固有名詞はあまりなじみがないのでは。というわけで調べてみました。

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文書や記録の提出を行政府に求める

 日本国憲法第4章は「国会」について定めています。有名な「国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」という位置づけ(41条)から始まって、2院制、国会議員の任期、不逮捕特権、衆議院優越規定など骨格が定められていて、その1つが国政調査権なのです。62条に「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」と説明されています。これが国政調査権で、すなわち国会の重要な権能なのです。

 憲法のこの条文を具体化させた手続き法が「議院証言法」と「国会法」104条。前者を根拠法とするのが証人喚問ですから「国政調査権」に証人喚問は含まれますし、現に今回の柿川疑惑でも野党は関連しそうな人物を対象とするよう求めています。

 一般的になじみがなさそうと推測したのは、国会法104条の方です。「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない」という内容です。

 今回の書き換え疑惑でいうと、財務省や検察当局に決裁文書の原本の提出を求める声が野党から上がっています。日本は三権分立を取り入れていて、「各議院又は各議院の委員会」=立法府(国会)が、「内閣、官公署」=行政府に対して、「必要な文書だから提出しなさい」と命じることができる権限です。応じないのであれば、立法府に理由を説明しなければなりません。

 具体的には「各議院」、すなわち衆議院と参議院の2院が独立して保有する権限です。さらに戦後の日本は「委員会中心主義」を採用しているので、委員会からの要請となるはずです。法案の数が増え、その内容も専門的になってくると議員全員が集う本会議ではなく、まず省庁と対応した分野別の常任委員会(衆議院18、参議院16)を中心に話し合うというのが委員会中心主義。今回のケースだと衆参いずれかの予算委員会や財務金融委員会あたりでしょうか。過半数の賛同があれば、国会法104条は発動されます。

 決裁とは提案などを責任者が認めたという意味なので、通常は決裁文書が2種類あるはずはありません。疑惑をスクープした朝日新聞によると、昨年国会に提出された文書と起案日はもとより、番号まで同一の別の文書が存在するというのです。黙って書き換えた文書を主権者が選出した国会議員に配ったとなれば刑法155条の公文書偽造罪に問われる恐れがあります。確かに「官公署は決裁文書を書き換えてはならない」という明文規定はないけれど、それは「あり得ない」からです。内容を書き換えたら当然決裁の取り直しとなり、起案日、決裁完了日、番号も異なってきます。