トランプ政権が保護貿易主義に傾くのではないかとの懸念が高まっています。米国が保護主義になると日本にはどのような影響が及ぶのでしょうか。

突如、辞任を表明したゲーリー・コーン委員長(2017年9月資料写真、ロイター/アフロ)

 トランプ政権における経済政策の司令塔である国家経済会議(NEC)のゲーリー・コーン委員長が6日、突如、辞任を表明しました。辞任の理由は、トランプ政権が鉄鋼とアルミの輸入を制限する方針を打ち出したことだといわれています。

 コーン氏はトランプ政権の中では珍しく、市場をよく知る、バランス感覚のある人物といわれており、貿易戦争に発展しかねない輸入制限措置については反対の方針を示していました。しかしトランプ氏は、強硬な保護貿易主義者として知られるナバロ通商製造政策局長らの進言に従い、輸入制限の実施を決断。これがコーン氏との対立を決定的なものにしたようです。

 これまで世界経済は、米国の旺盛な消費に支えられて成長を続けてきました。もし米国が保護主義に傾いた場合、米国への輸出が大きく減ることになりますから、米国にモノを売る国にとっては大打撃となります。もっとも大きな影響を受けるのが日本と中国であることはほぼ間違いないでしょう。

 経済学の理屈上、自由貿易はすべての国にメリットがあるシステムとされており、米国が自由貿易から距離を置くと自国にもマイナスの影響があります。しかし米国は突出した経済大国です。しかもサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国となっており、国内で必要とされるエネルギーをすべて自給することができます。

 これまで輸入していた製品を国内産に切り替えることでコスト高といった問題が発生しますが、米国への輸出に依存している国と比較すると、米国への影響は軽微です。米国のような超大国は、自国経済を少し犠牲にするだけで、他国を窮乏させるパワーを持っているわけです。

 EU(欧州連合)はこうした米国の姿勢を批判していますが、おそらく各国は、米国を批判しながら、自国の製品だけを輸入制限の対象外にしてもらえるよう、水面下で個別の交渉を行うはずです。そうなってくると、米国は他国をうまく分断し、自国に有利な交渉を行うことが可能となります。おそらくトランプ政権の狙いもこのあたりにあると考えるのが自然でしょう。いずれにせよ、米国の消費に頼る日本にとっては厳しい状況となります。

(The Capital Tribune Japan)