フランス・パリのルーヴル美術館(写真:アフロ)

 現在開催中の「プラド美術館展」(国立西洋美術館<東京・上野>:5月27日まで、兵庫県立美術館<神戸市>:6月13日~10月14日)や今後始まる「プーシキン美術館展」(東京都美術館<東京・上野>4月14日~7月8日)、「ルーヴル美術館展」(国立新美術館<東京・六本木>:5月30日~9月3日)など、今年も世界の名作たちが日本にやってくる。

 ぜひこの機会に名作の「筆づかい」「色の重ね方」を実際に見て、そのすばらしさを体感し、心に刻みたいと思う人は多いだろう。西洋美術史家の木村泰司さんは、そうした美術品の鑑賞はいかにも日本人的だと語る。

「西洋美術史」を学ぶことは欧米を理解すること

西洋美術史家の木村泰司さん(撮影:小杉聡子)

 「美術は見るものではなく読むもの」であり、西洋美術史の知識は、美術を鑑賞するための「約束事」だと木村さんは言う。

 古代から信仰の対象として始まった西洋美術は見るだけではなく、「読む」ことによってある一定のメッセージを伝えるために発展してきた。それぞれの時代の政治、宗教、哲学、風習、価値観などを形にしたものが美術品であり、建築物なのだ。そしていま私たちが目にしている美術品の多くは、かつては欧州王家のロイヤルコレクションだった。

 「多くの美術品を所有していたのは、ハプスブルク家、ブルボン家といった王家の人々や、歴代の名家出身のローマ教皇たちなど、当時の美のリーダーたちでした。持っていた人たちの社会階層を考えると、主な宗教画以外は、当時の庶民でもパッと見ただけでは理解できるはずがありません」

 私たちに「読んでほしい」と語りかけてくる西洋美術のメッセージを受け止めるためには、古代ギリシャから綿々と続く西洋美術史の流れを知ることがはじめの一歩となる。その入門書として最適なのが、木村さんの著書『世界のビジネスエリートが身につける教養 「西洋美術史」』(ダイヤモンド社)だ。西洋美術約2500年の歴史と名作が生まれた背景を一気に学べる。なぜ、この時代に、この国で、この作品が生まれたのか。歴史的背景を知れば西洋美術はもっと面白くなり、欧州をよりくわしく理解できるようになる。

 「西洋美術史の知識なしに美術品を見ることは、わからない外国語の映画を字幕なしで見たり、初めての歌舞伎をイヤホン・ガイドなしで見たりするのと同じです。歌舞伎を見慣れていない人には、『切られ与三』の中の羽織を落とす仕草が“惚れた”の意味だとはわかりませんよね。西洋美術も同じで、ルールがわかればもっと楽しく見ることができるはずです」