撮影:高橋邦典

 オールド・ハバナと呼ばれる旧市街を歩くと、まるで時代を遡ったような気にさせられる。青や黄、ピンクといったカラフルな16~17世紀のコロニアル建築から、1900年代初頭のアール・ヌーボーやアール・デコのスタイル、さらにはモダニズムまで、ただ建物を見て歩くだけでも楽しめる。

 20世紀初めには、街並みを一定の基準で統一するために、建築物のスタイルや色に至るまで、政府の許可が必要だったという。確かブータンの首都ティンプーにも厳しい建築スタイルの基準があるはずだが、こういった町には調和感があって美しい。利便性だけでなく、視覚も考慮に入れた都市計画といえるだろう。

フォトジャーナル<変貌する社会主義国キューバ>- 高橋邦典 第52回

撮影:高橋邦典

 高度経済成長期に、そんな「美しさ」を考えることなく、闇雲に箱のようなビルを乱立し、歴史のなくなってしまった日本の都市とは対照的だ。しかしハバナのこういった風情のある建物も、老朽化で半ば朽ちかけているものが少なくない。住民たちは勿論、政府にも修復の金などないから、風化の一方だ。

 今後キューバの経済が上向いていくにつれ、ハバナの街並みはどう変わっていくのか。歴史は失われることなく引き継がれていくのだろうか?

(文・写真:高橋邦典 2017年2月撮影)

※この記事はフォトジャーナル<変貌する社会主義国キューバ>- 高橋邦典 第52回」の一部を抜粋したものです