多くの有識者が誤報だと批判していた、朝日新聞の「文書書き換え」報道が事実であったことが明らかとなりました。かつて同社が誤報していたことで先入観を持った人が多かったのがその原因と考えられますが、一連の出来事はメディアリテラシーの難しさをよく表わしています。

森友学園問題の文書書き換えで謝罪した麻生財務相(ロイター/アフロ)

 朝日新聞は3月2日、森友問題に関して、「財務省が文書を書き換えた疑いがある」と一面トップで報じました。これに対して、多くの有識者や政治家らが「フェイクニュースではないのか」と同社を一斉に批判しました。しかしながら、この時点では文書が書き換えられたのか客観的に示す材料もなく、逆に朝日の報道が誤報であることを裏付ける情報もありませんでした。

 それにもかかわらず、有識者や政治家が朝日新聞の報道を誤報と認識したということは、多くの人の潜在意識の中にそうあって欲しいという願望が存在していた可能性を伺わせます。さらにいえば、朝日新聞が以前、誤報をしたという先入観が作用していることや、個人的な好き嫌いなども関係しているでしょう。

 このところフェイクニュースに関する話題を耳にすることが多くなっていますが、フェイクニュース問題は、単にメディアがウソの報道を行うことだけで生じるものではありません。読み手である私たちも、それに一部、荷担しているのです。

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの研究者らの調査では、フェイクニュースの方が、本物のニュースよりも早く広範囲に拡大することが明らかになっています。そうなってしまう原因のひとつが、情報に対する人々のメンタルな作用です。目新しい情報だったり、自分が欲している情報に人は飛び付いてしまいます。このためウソの情報の方が拡散しやすくなってしまうのです。

 有識者と呼ばれる人たちは、一般の人よりもメディアリテラシーが高いはずですが(本当はどうなのか分かりませんが)、このような人たちですら、先入観や感情に流されて、結果的にウソの情報発信をしていました。わたしたちが、有識者の発言を聞く時や、メディアの報道に接する時には、とりあえず、すべて疑ってかかるという慎重な姿勢が重要でしょう。

 たとえ、自分が好きな相手であっても、嫌いな相手であっても、また自分にとって望ましい情報であってもそうでなくても、まずは一歩引いて、冷静になる必要があります。

(The Capital Tribune Japan)