今年の春闘における主要企業の回答が出揃いました。多くの企業で昨年を上回る回答となっており、労働者はホッと一息といったところでしょう。しかし、経済状況を総合的に見ると、あまり喜べる状況でもないようです。

2018年春闘の集中回答日(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 安倍政権は、春闘に際して企業に強く賃上げを求めており、今年は3%という具体的な金額まで飛び出しました。企業の業績が好調ということもあり、経営側にはかなりのプレッシャーがかかっていたようで、各社とも前年を上回る回答となっています。

 春闘をリードしている自動車業界では、トヨタ自動車が昨年を1300円上回るベースアップで決着したほか、日産やホンダも満額回答となっています。トヨタは、具体的な金額は非公表ですが、手当などを含めた昇給率は3.3%、日産は少し下がって2.4%でした。

 電機各社も3%には達しないものの、日立やパナソニック、三菱電機などが前年を上回る水準で妥結しています。日立は月収ベースでは2.3%、賞与も含めた年収ベースでは昇給率が4%を超えます。

 前年を上回るという企業が多く、労働者の賃金はとりあえず増えることになりそうです。しかしながら、経済全体の状況はあまりよくありません。

 日本ではデフレが続いているというイメージが強いですが、足元では実はジワジワと物価が上昇しています。野菜の価格高騰という特殊要因はありましたが、総務省が発表した1月の消費者物価指数(総合)は前年同月比で、何と1.4%のプラスでした。

 昨年も名目上の労働者の賃金は上昇していましたが、物価上昇がこれを打ち消し、実質賃金はマイナスとなっています。今年も、物価上昇がさらに進めば、実質賃金はマイナスとなってしまいます。さらにいうと、2019年10月には消費税の10%増税が控えています。前回の増税と比較すると上げ幅が小さく、軽減税率の適用もありますから、前回ほどのインパクトはないと思いますが、それでも、家計にとって大きな負担となるのは同じです。また、一部の企業では残業時間が大幅に短くなっており、年収が減少する人もいます。

 とりあえず昇給が実現し、消費を増やす人もいると思いますが、全体的にはまだまだ財布の紐を緩める雰囲気ではないでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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