自己ベストを大幅更新して5位に入った19歳の友野一希(写真・アフロ)

 フィギュアスケートの世界選手権の男子フリーが24日、イタリアのミラノで行われ平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨(20、トヨタ自動車)は、179.51点の計273.77点で2大会連続で銀メダルを獲得、初出場した友野一希(19、同志社大)は、自己ベストを大きく更新するフリー173.50点の合計256.11点で5位に入った。結果、日本の上位2人の合計順位が7位で、ノルマの13位以内となり来年埼玉で行われる世界選手権での出場枠「3」を死守した。優勝はフリーで4回転を6本入れたネイサン・チェン(18、米国)で初。

 フリーはチェンを除く最終滑走グループの上位陣が次から次へと転倒する荒れた展開となったが、練習量では国内で1、2を争う宇野と友野が、その土台に支えられた演技でSPからの逆転につなげた。

 特に注目は、故障欠場した羽生結弦(23、ANA)の代役で出場してSP11位から大きな飛躍を遂げて世界に名を売った友野。来季のGPシリーズ参戦も濃厚で、羽生、宇野に続く“第3の男”が不在だった日本の男子フィギュア界において面白い存在のスケーターが出てきた。

 最高の笑顔。そして右手でガッツポーズ。
 ミラノのファンのスタンディングオベーションが止まなかった。羽生の代役だった友野が素晴らしい世界デビューを飾った瞬間だった。

「失うものは何もない。フリーではやれるだけのことをやる」

 腹をくくってリンクに向かった友野は、冒頭の4回転サルコーから2回転トゥループの連続ジャンプこそ、少しバランスを崩したが、続く単独の4回転ジャンプを綺麗に着氷した。高さのある美しい4回転ジャンプだった。3回転アクセル+3回転トゥループの連続ジャンプも成功させて、後半に入ると、3回転アクセル+2回転トゥループ+2回転ループのトリプルジャンプを決め、「ウエスト・サイド・ストーリー」のポップなテンポに乗っていく。会場のファンのハートをつかみながら、3回転ループ、3回転サルコー、3回転ルッツと単独ジャンプにすべて成功。まったくスピードが衰えない。8本目のジャンプとなる3回転フリップも危なげなく決め、フリーで自己ベストの155.42点を大きく更新する173.50点を叩き出した。

 ショートでは「怖かった」と演技終了後に泣きだした友野に涙はなく、厳しい指導で知られる平池大人コーチが、力強くその肩を抱き寄せた。

 最終滑走グループの上位陣が次々と転倒、ミスを重ねて“自爆”していく中、“準パーフェクト”の演技を見せた友野は、順位をキープして5位入賞を手にした。そして、なにより宇野の銀メダルと合わせて来年の世界選手権の出場枠「3」の死守に多大な貢献をした。ひとつ友野よりも年上の宇野も、「僕のおかげではなく、友野さんのおかげ」と絶賛した。

「結果は信じられない。本当に今、できることを全力ですべて出し切れた。それができたから、今、この結果があると思う。思い切って楽しんで滑ることができた。それが要因だと思う」

 ネットの検索トレンドワードでも「友野」の名前が急上昇。SNSでは、「可愛い」「感動」「キュンときた」などの言葉が並んだ。インタビューも初々しくスター性があるのかもしれない。