政府が放送制度改革について検討を進めています。政治的公平の撤廃や放送局のソフト・ハード分離、外資規制の撤廃などが盛り込まれており、もし実現すれば、従来型の放送局はNHKだけとなります。

政府が検討を開始した「放送制度改革」、実現するとどうなるの?(アフロ)

 これまでの制度では、通信と放送は分離されており、通信については自由ですが、放送については数多くの規制が設けられていました。番組には政治的公平が求められており、特定の政党を支持するような番組は作れないことになっています。テレビ番組が、賛成派と反対派、両方の意見を流しているのはそのためです。また外資規制があり、外国企業がテレビ局を支配することも禁止されています。このほか、報道番組とバラエティ、教育番組のバランスを取り、どれかに偏らないようにすることも求められていました。

 また放送と通信が分離されていることから、放送局は番組制作と電波による番組の配信を一体で行ってきました。これが放送局に莫大な利益をもたらしてきたわけです。

 これらの規制を撤廃し、誰でも自由に放送できるようにするというのが放送制度改革の内容です。もしこの制度が実現すると、従来型の放送局はなくなり、コンテンツを制作する会社と、放送網を管理し、コンテンツを配信する企業に分離される可能性が高まります。ネットではコンテンツを作るメディア企業と、プロバイダなどの配信企業は分離されていますが、これに近いイメージです。

 また、番組内容の公平性規制がなくなりますから、それぞれの制作会社が番組を好きなように制作することになります。外資規制も撤廃されるので、中国のような国が放送局を買収することも可能となるでしょう。規制撤廃後は、放送内容はすべて資本の論理で決定されることになるわけです。最終的には従来型の放送局はNHKだけという形になる可能性が高いでしょう。

 一連の改革で大きな影響を受けるのは民放各社ですが、日本民間放送連盟は、国民の知る権利が侵害される可能性があるとして、改革に強く反対しています。

 もっとも、放送制度改革については与党内部でも意見が割れているようです。これまでの放送法では、政治的公平性を理由に番組内容に対して政治介入することが理論上、可能でしたが、規制が撤廃されると政府は番組内容に対して一切、注文を付けることができなくなります。これに加えて、外資参入を警戒する声も根強く残っているようです。

(The Capital Tribune Japan)