[写真]佐川氏は文書改ざんについて安倍首相や昭恵夫人らの指示はなかったと証言した(つのだよしお/アフロ)

 森友学園問題に絡む財務省の決裁文書改ざんについて、佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が3月27日に衆参両院でありました。読売新聞の最新の世論調査(3月31日~4月1日)では、問題発覚当時の理財局長だった佐川氏が、安倍晋三首相や昭恵夫人からの指示はなかったとした説明に「納得できない」と答えた人が約75%に上っています。そこで、佐川氏の証人喚問での証言も含めて「何が論点で、どんな疑問が残っているのか?」についてまとめてみました。

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国有地売却問題と改ざん問題

 中核となる「謎」は、学園がつくろうとしていた小学校の建設予定地にあたる国有地の払い下げで約8億円も値引きされたのはなぜか、です。財務省理財局は国有財産の売却も仕事の1つで、出先機関が近畿財務局。以前、筆者の記事「『森友学園』問題で残る4つの謎」でも疑問を呈しました。騒ぎになったのは2017年2月以降です。

 今回、問題視されている決裁文書改ざんは、2015年に土地取引で国有地を貸しつける契約をしてから翌年の売却決裁までの経緯をつづった公文書が「決裁」(=最終決定)の後に書き換えられていたのはなぜかという疑問で、朝日新聞が18年3月2日にスクープしたのが発端です。「調査中」では逃げ切れないと悟ったか、財務省は同12日、14の決裁文書に書き換えがあったと認めて国会へ報告しました。

決裁文書改ざん問題の論点

 改ざんされた時期は、森友問題が発覚した昨年2月下旬から4月にかけて。2016年6月から翌17年7月まで理財局長を務めた佐川氏の証人喚問の中身を追いながら整理していきます。

◎誰が首謀した?

[写真]佐川氏は改ざんの経緯に関する証言は「刑事訴追の恐れがある」として拒否した(ロイター/アフロ)

 佐川氏の証言では、安倍晋三首相や昭恵夫人の指示は「ない」。官邸内の菅義偉官房長官や副長官および秘書官の指示も「ない」。麻生太郎財務相からも「ない」と述べ、改ざんは「理財局内で行った」と断言しました。森友問題について首相秘書官の今井尚哉氏と「話したことはない」と否定するなど、官邸などとの協議はもとより相談もなかったとしました。

ただ「誰が、いつ、いかなる動機で、誰に指示したか」という改ざんの経緯に関わる包括的な質問には、「刑事訴追を受ける恐れがある」などとして証言を拒否しています。すなわち指示・関与しなかった者は明言できても「であれば誰が関与したのか」「誰に指示したのか」は明かしません。佐川氏本人が「私一人でやった」とも言いませんでした。

 議院証言法という法律は、証人喚問で刑事訴追を受ける恐れがあると判断したら証言を拒めると定めています。佐川氏が一貫して避けたのは前述の通り、「改ざんした決裁文書に関わる経緯」です。

 いわゆる森友学園問題は、学園前理事長の籠池泰典被告が補助金をだまし取ったとして詐欺罪で大阪地検特捜部から起訴されています。特捜部は他に近畿財務局関係者らを背任容疑で捜査しています。「8億円値引き」が不当に安いと知りながら国有財産を売り飛ばしたら国(すなわち主権者たる国民)を裏切って損害を与えたとなり得るからです。

 佐川氏の名前を一躍有名にした昨年の「面会等の記録は廃棄した」という答弁に関しては、公用文書等毀棄罪に該当するとした告発状を東京地検特捜部が受理しています。この答弁について、佐川氏は喚問で「本当に丁寧さを欠いた」と証言しました。他に証拠隠滅容疑の告発も既に受理されています。改ざん問題そのものでは虚偽公文書作成や公文書偽造容疑の告発がなされました。

 こうした容疑を裏づけるような発言は拒否できるというのが議院証言法の決まりです。今回、予想通りとはいえ、あまりにも拒否が多かったので、佐川氏本人が「まずい」と感じているところを検察へ教えてあげたような側面もあり、今後の捜査に注目です。

 なお「訴追を受ける」とは検察の起訴(裁判にかける)と同義。今回は特捜部が出てきているので警察の段階を経ず検察の独自捜査となっています。

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