アフリカ諸国のフォーマルな製造業が停滞するかたわらで、インフォーマルなものづくりには、そうした停滞とは異なる可能性が感じられる。

 インフォーマルな事業者とは、許認可、規制、補助など政府の手が届かない企業・業者を指す。ここでは、具体的にものづくりの中から、衣服の縫製、小規模の道路建設業、そして木工家具作りを選び、彼ら・彼女らが、インフォーマルであることの難しさにどのように向き合いつつ、事業を展開しているのかを考えてみたい。そのことを通じて、インフォーマル事業者が将来の工業化・経済発展を担う可能性があるのか否かについてもヒントを見出すことができるだろう。(解説:高橋基樹)

【連載】アフリカー岐路に立つ大陸

地方道路建設グループの「フォーマル化」と成長

 今、アフリカの各地では、道路の建設や修復の事業が急速な勢いで進んでいる。その資金は多くの場合、外国からの資金でまかなわれている。なかでも中国の資金が多く、中国企業が絡む道路建設が目立っている。ただ、そうした外国からの道路整備支援は、ほとんどの場合、幹線道路に集中している。

 それはそれで国々の経済の活性化のためには重要なことなのだが、アフリカのインフォーマル経済は、都市の低所得層だけでなく、農村で広く展開している。アフリカ諸国の人々は、未だに農村部に多く居住しているのだから、インフォーマル経済の主体は、むしろ農村部だと言ってよい。そして、農村部のフォーマル経済とのつながりを妨げているものが、道路の問題なのである。

 アフリカの多くの国の農村部では幹線道路から少し離れると、舗装されている道を通るほうが珍しい。砂利道であればまだいい方で、土だけの道も非常に多い。道路大国に住む日本人にはピンとこないが、土だけの道が砂利道より問題なのは、雨が降ると泥沼になり、自動車の通行が困難になるからである。そのため、雨期に激しい降雨に見舞われる地域では、幹線道路まで数キロメートルでも離れると、荷物の運搬が何日もの間できなくなる。こうして、多くの農村では、農作物の出荷や逆に肥料などの買出しができなくなり、商品作物生産の機会をほぼ断たれてしまう。そのために、アフリカの農業のかなりの部分が、自給自足と狭い地域でのやり取り、言い換えれば、政府とは無関係なインフォーマルなものにとどまってしまうのである。

 こうした意味で、単純なことだが、農村での全天候道路(舗装道路、砂利道など)の整備はアフリカの開発・貧困削減にとって最も重要な鍵のひとつになる。ただ、道路を整備すべき政府・自治体に、舗装をしたり、砂利を埋設したりする十分な資金や機材(建機など)がないことが問題だ。そこで期待されるのが、主に人々の労働を用いる道路整備手法である。