習近平政権が2期目に入り、中国の金融政策が大きく変わろうとしています。中国は中央銀行のトップを交代させ、新しい体制で金融政策を進めようとしています。中国の金融政策はどう変わるのでしょうか。

中国人民銀行の新総裁に選出された易綱氏(ロイター/アフロ)

 中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)は3月19日、中央銀行である中国人民銀行の新総裁に、現副総裁の易綱氏を選出しました。中国人民銀行の総裁は15年にわたって周小川氏が務めてきました。周氏は国際的な知名度も高く、人民元の国際化を積極的に進めてきた実績があり、諸外国の関係者からは「ミスター人民元」などと呼ばれていました。

 易氏は副総裁として周氏を支えてきた人物であり、米国で学位を取得した学者ですので、従来路線が踏襲されるように見えます。しかし実態はもう少し異なるようです。

 人民銀行の総裁には、習近平氏の経済ブレーンである劉鶴氏が就任するとの噂もありましたが、最終的には易氏が後任の総裁となりました。

 日本では大臣や中央銀行総裁といった役職は極めて地位が高いと認識されていますが、中国の場合は必ずしもそうとは言い切れません。中国は共産党が支配する国ですから、共産党での役職が極めて重要な意味を持っています。この点において劉氏は25名いる政治局委員のメンバーに入っており、中国の指導者の1人といってよい人物です。また全人代では中国政府にあたる国務院の副総理(つまり副首相)に選出されており、政府組織の中でも極めて高い地位にあります。

2期目を迎えた習近平政権(ロイター/アフロ)

 こうした状況を総合的に考えると、共産党において高い地位に就いていない易氏が金融政策について強いリーダーシップを発揮するのは困難というのが自然な解釈でしょう。劉氏は、習氏の信頼が厚いといわれており、共産党における習氏の立場は絶大なものとなっています。

 習氏は従来のような市場開放一辺倒の政策には懐疑的といわれていますから、政府による関与を強める可能性があります。表面的には人民元の国際化という従来路線の継承に見えますが、通貨を覇権主義的に用いることも十分に考えられるでしょう。日本にとってはさらに厳しい状況となりそうです。

(The Capital Tribune Japan)

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