電撃解任されたハリルホジッチ監督。責任は彼だけにない(写真:Shutterstock/アフロ)

 代表選手を集めることのできる時間を考えると、実質、ロシアワールドカップまで残り1か月もない段階でのハリルホジッチ監督の解任を驚きを持って受け止めた。何よりも選手が戸惑うだろう。「今更?」といった印象を拭えない。

 私は、いつまでも選手選考をしていて、一向にチームのベースとなるメンバーを固めて成熟させていく作業に移らないハリルホジッチ監督の手法に疑問を感じて問題提起をしてきた。解任のタイミングは、2年前の9月にあったワールドカップのアジア最終予選の初戦でUAEに負けた時点、遅くとも昨年12月のEAFF E-1サッカー選手権で韓国に1-4と大敗した時点など、いくらでもあったはずだ。

 最後の欧州遠征となる3月のマリ戦、ウクライナ戦を1分1敗で終え選手から不満の声が続出したことが最終的な解任の理由だったのかもしれないが、そこまでサッカー協会側とハリルホジッチ監督の間でチーム状況を改善するための議論が交わされてきた形跡は見られなかった。どういう形で、どうチームを強化していくのか。今の問題点は何か。さらには日本のサッカーの特徴をどう考え、どこへ向かっていこうとしているのか、というような議論である。

 日本サッカー協会の田嶋幸三会長は、9日の記者会見で、そういうトライを後任監督となる西野朗技術委員長を中心に続けてきたと仰っていたが、その努力が反映されることはなかったのだからやっていないのと同じだ。
 選手選考からチーム戦術までのすべてをハリルホジッチ監督に“丸投げ”しておいて、あまりに支配的にやりたいようにやったハリルホジッチ監督が思うような結果を出せず、選手から文句が出てきたから、クビを切るというのでは無責任すぎる。

 私は、今回の電撃解任の本質は、そういうハリルホジッチ監督を招聘したサッカー協会側にあると考えている。この日の田嶋会長の記者会見にしても、解任理由として「選手とのコミュニケーションや信頼関係が多少薄れてきたということ。そして、今までのさまざまなことを総合的に評価して、この結論に達した」と言っただけ。まったくの説明不足だろう。 

 つまりビジョン、指針がないのだ。

 日本がワールドカップ初出場を決めた20年前から何も変わっていない。

 3年前にアギーレ監督を解任した際にも、私は同じ指摘をした。ブラジルワールドカップでベスト16に進出できなかった理由をしっかりと総括しないまま、監督の実績とネームバリューだけで、海外から監督を連れてきてリサーチ不足もあって失敗した。そしてハリルホジッチ監督を呼んだときにも論理的な説得力に欠けていた。日本が世界で勝つために目指すサッカーは、どういうものか。何が足りないのか。そのサッカーを構築するために、今求めている監督像は、具体的にどういう条件を満たす人なのか。 

 それらの指針が明らかになっていないまま、ワールドカップの実績とネームバリューだけにのっかって監督を選び、すべてを監督任せにしてきたツケが回ってきたのだ。