坂口健太郎(撮影:田村豊)

 続々と春の新ドラマがスタートするなか、とりわけ女性ファンの期待度が高いと思われるのが、坂口健太郎のテレビドラマ初主演作『シグナル 長期未解決事件捜査班』(カンテレ・フジテレビ系)だ。同作は、2016年に韓国で爆発的人気を獲得したヒューマン・ドラマ『シグナル』のリメイクになる。すでに大ヒットの実績ある物語に、絶好調な今旬のイケメン俳優を擁した万全の体勢ともいえる。10日放送の第1話の平均視聴率は9.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、期待を裏切らないまずまずの滑り出しだ。韓国ではドラマ史上に残る傑作ともいわれた『シグナル』の日本版はどうか?

【連載】新ドラマレビュー<18年春>

彩度重苦しい映像 期待する坂口像は封印されていたが

 坂口は、謎の過去とつながる無線機を通じ“現在”を生きる刑事・三枝健人を演じる。三枝は幼い頃、女子児童誘拐殺人事件の犯人を目撃したことや、実兄が自ら命を絶つ原因となった事件の影響で心に深い傷を負っている。警察官になるも、警察自体が信用できなくなり、過去の犯罪事件にかかわるデータベースを活用し、新たな事件の犯人像を割り出すプロファイリングを独学で習得した。そして、北村一輝演じる“過去”を生きる刑事・大山剛志と交信し、ともに協力して15年前の未解決事件を解き明かしていくというスリリングな展開となる。渡部篤郎、吉瀬美智子、甲本雅裕ら共演陣も強力だ。特に塩顔イケメンと坂口と濃い顔代表の北村とのコントラストがいい。

 ドラマが始まって、すぐに彩度低めの映像に重苦しい印象を強く感じた。刑事部屋でのシーンなどではいかにもほこりっぽく、緊迫した重い空気感が漂う。グイグイ引き込まれるような展開の物語ではあるが、過剰な描写が気になるところもしばしば。たとえば、廃墟となった病院の敷地内にある通風孔で、遺体を発見するまでの間、手に持った携帯用ライトをかざしながら探索中するシーン。ドラマの持つサスペンス要素を盛り上げるためなのだろうが、BGMを含め、まるでホラー映画のようだ。

 同作ではこれまでの坂口のイメージは封印されるだろう。どこか草食的で母性本能をくすぐるようなぽんわりとした雰囲気を漂わせたり、笑顔を浮かべたりする坂口の姿はここにはない。放送前は「坂口くん大丈夫?」とファンからは心配されていたようだが、案外しっくりときているのでは、との視聴者の声も聞かれる。筆者には刑事役の坂口を見慣れるのには少し時間がかかりそうだ。とはいえ、1話冒頭ではプロファイラーらしいクールで何事にも動じない様子を見せたかと思うと、無線がつながってからはうろたえたり、声を荒げ、感情をむき出しにする人間らしい様子を見せてくれた坂口に少し安心した。坂口にとって、新しい一面を獲得して役者としてさらに飛躍する機会となればいいだろう。

 1話の終盤、過去の事件の真犯人役として長谷川京子が登場した。第2話では、長谷川演じる時効間際の真犯人からなんとしても自白を引き出したい刑事たちとの激しい心理戦が見どころになるだろう。犯人が先にわかっていて、動機や目的を探っていくというサスペンスに坂口の本領発揮を期待したい。

 韓国オリジナル版を超え、坂口の代表作となるだろうか?

 次も観たい度 ★★☆☆☆

(文・写真:田村豊)

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