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 改築に向けた取り壊しを控えた長野県信濃美術館(長野市)で、公募の2作家が美術館内での公開制作と作品展示を3月31日まで行い、美術館に親しんできた県民らでにぎわいました。「解体直前 アーティスト・イン・レジデンスin長野県信濃美術館」と題して、広い館内いっぱいに光と造形の作品を展開。来場者は、通常の展示とは異なる自由な作品空間を楽しみました。

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館内空間を使った若手2組の作品

[写真]しょうゆ差しを多数つり下げた「three」グループの作品

 信濃美術館は善光寺に隣接する城山公園に1966(昭和41)年に財団法人として発足。69年に県立に移管し、県内作家らの展示、企画展、美術団体の発表などで県民に親しまれてきました。併設の東山魁夷館と合わせ、開設以来750万人が訪れましたが、老朽化した信濃美術館の改築と東山魁夷館の改修のため、昨年から作品を移動するなどして休館していました。

 解体前の記念イベントとして、信濃美術館は公募で選ばれた2組の芸術家による館内での制作、展示を計画。インスタレーション作品などで知られる千田泰弘(ちだ・やすひろ)氏(=神奈川県生まれ、武蔵野美大建築学科専攻)と、フィギュアなどを組み合わせた立体作品などのグループ「three(スリー)」(川崎弘紀、佐々木周平、小出喜太郎の各氏)の2作家・グループによる展示を決め、この3月から館内での公開制作、ワークショップ、作品の発表を行いました。いずれも海外での活動も活発な芸術家たちです。

 「three」の作品は、魚の形をした「しょうゆ差し」を会場いっぱいに5200個以上つるしたインスタレーション(空間表現)。しょうゆ差しの中には、公開制作中に訪れた市民や近くの城山小学校、吉田小学校の子どもたちに「100の質問」に答えてもらった紙が小さく巻いて入れてあります。質問は制作者が用意した「好きなごっこ遊びは」、「オリジナルのコインを描いてみて」など。来場者は自由にしょうゆ差しのふたを取って質問を見ることができ、持ち帰れます。

 作品の狙いについて、グループ代表の川崎さんは「海を流れてきたボトルメールを開く感じをイメージしました。制作者とともに多くの人が関わる参加型の作品です」と話しています。