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ダイアン・クルーガー(撮影:田村豊)

ダイアン・クルーガー(撮影:田村豊)

 これまで数々の社会派映画を撮ってきた、トルコ系ドイツ人のファティ・アキン監督の最新作『女は二度決断する』が14日から公開される。

 ドイツ警察の戦後最大の失態と言われるネオナチによる連続テロ事件。初動捜査の見込み誤りから、10年以上も逮捕が遅れ、その間、犯人は殺人やテロ、強盗を繰り返された。それらの実際の事件に着想を得て作られたのが同作だ。

 理不尽な暴力により、愛する家族を奪われた上、捜査や裁判の過程によって心を引き裂かれていく女性を実力派女優ダイアン・クルーガーが演じた。これ以上にない悲しみの中にひとり身を置き、最終的に下した決断は観る人すべての心を揺さぶる。同作でクルーガーは第70回カンヌ国際映画祭では主演女優賞を獲得。主要映画祭での主演女優賞受賞は初となる。作品としては第75回ゴールデングローブ賞ほか多数の名誉ある賞を受賞した。

 ドイツ・ハノーバー出身のクルーガーだが、意外にも母国語である、ドイツ語で役を演じたのは初めてだという。もともとファティ監督作品のファンだったという。2012年、カンヌで「あなたの映画に出たい」と話して、ようやく夢が実現した。クルーガーは次のようにコメントしている。

 「この映画のもとになったネオナチによる事件については、ドイツに住んでいなかったこともあって、当時は知りませんでした。『女は二度決断する』は犯人側の動機は問題にしていません。ただ、家族を失った者が感じる悲痛な感情を描いています。撮影に入る前に約6カ月かけて30家族ほどのテロや殺人事件の犠牲者となった方々に話を聞いて、とてつもない苦しみや哀しみや重みを引き受けなければいけないと感じました。この経験は私の人生を完全に変えました。撮影中、何度も自分が演技をしているのではないような感覚になったんです。自分の目の前で起きていることに反応しているような……。今も私の中にカティヤはいます。この作品は私にとってとても大切な映画になりました」

 ささやかな幸せが一瞬で壊され、絶望の中、生きる気力を失いそうになりながら、カティアの下す決断をぜひ目に焼き付けてほしい。 

『女は二度決断する』
4月14日(土)より ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー。