村田のフィニッシュブローは珍しくフックだった(写真・山口裕朗)

プロボクシングのダブル世界戦が15日、横浜アリーナで1万1000人ものファンを集めて行われWBA世界ミドル級タイトルマッチでは、王者の村田諒太(32、帝拳)が、同級6位のエマヌエーレ・ブランダムラ(38、イタリア)に8回、TKO勝ちした。ミドル級での日本人の防衛成功は初。試合後、世界的プロモーターのトップランク社、ボブ・アラム氏は、改めてゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との東京ドーム決戦構想をさらに具体的に明らかにした。

 村田諒太の試合後インタビューは面白い。
 機知に富んでおり、退屈させず、そこにちょっとした哲学を挟み込んできたりして、ある意味、すでに、そこだけは、世界のイチローレベルである。
 この日は、右ストレートの修正の話や、調子のいい悪いの自己評価、そして王者になったことで反動として出てきたハングリーさの欠如をどう克服したかというような話をした。イチローは、お抱え記者2人にしかコメントしないが、村田は、たかだかネット記者にまで、わざわざ質問の機会をくれる。
 
 慎重にスタートした序盤の自己解説はこうだった。
「1、2ラウンドはポイントいらない。序盤で右をふってくる選手。いい体もしている。あの体で100パーセントの力で振ってくる右を序盤にもらうとミドル級ではダメージがたまる。それを序盤にもらうことは賢くない選択。あの右をもらわない、ということだけを考えていた」
 立ち上がりからジャブがよかった。
「思ったよりジャブが良く当たった」
 そして右のボディストレートというリスクの少ないコンビネーションで主導権を握る。2ラウンドに早くも“宝刀”の右ストレートを打ち込むと、ヒット&アウェーに活路を見出そうとしていたイタリア人のペースはディフェンス一辺倒になった。
 リングに上がってからの調子のいい悪いは、もちろんボクサーにはある。
「僕はスタンスとして、ゴングが鳴ってから、いいとか、悪いとか、考えない。その場で何ができるかを考えるだけ。ボクシングは相手があってのもの。対人競技において調子のいい悪いは簡単にいえない」
 つまり、村田が言いたかったのは、状況に応じた最善の選択を続ける、ということなのだろう。 

 村田は、このラウンドで、右ストレートの異常に気がついたという。
「右ストレートのタイミングが体が開いているって感じだったんです。その右を修正できた。野球でもバッターのスイングのフォームがタイミング上合っていないってあるでしょう。あれと一緒です」

 6ラウンドになって、右のストレートの精度が高まった。少しボディに散らしたこともブランダムラの注意力を散漫にさせたのかもしれない。右ストレートのつるべうちにロープに吹っ飛ぶシーンも。だが、村田同様堅いガードは崩さずなんとか耐え切った。フィニッシュは8ラウンドだった。
 ドカンという右ストレートを2発。ブランダムラの体が流れるようにロープを背負わせると、ガードごと吹き飛ばすような右をスイングした。「これまでと違う右。映像を見て、こんな右を打ったのかと思った」
 残り16秒。挑戦者は必死に立ち上がろうとしていたが、コーナーのトレーナー陣は、先に両手をふって降参していた。

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