3年ほど前の話になるが、ホリエモンこと堀江貴文氏が、障がい者を差別する発言をしたと騒ぎになった。

 2015年8月20日、堀江氏がツイッター上のユーザーとのやり取りで、<生産効率の悪い人を無理やり働かせる為に生産効率のいい人の貴重な時間が無駄になっているのだよ>とつぶやいたことが発端だった。

人と違うことをし、戦う軸をずらせ

 これに対して、あるユーザーが<障碍者の人達にも社会貢献したい人は多いですよ。その場を経済活動/労働に求める人も当然います、作業だろうがなんだろうが>と疑問をぶつけた。ホリエモンは<それは勝手にやってくれ。ただその多くは社会的にはプラスにはならないよ。したいならやり方を考えよう>と返答した。

 筆者は彼を擁護するつもりはないし、彼のことはどちらかと言うと好きではない。もちろん、障がい者が働くことで社会的に意味があるかどうかは彼が決めることではないが、事実を言っている部分もあると思う。

 筆者は寝たきり社長として活動し、これまで様々な経営者と関わってきた。そして、多くの経営者の口からこんな言葉を耳にしてきた。「そろそろ障がい者雇用を始めないといけないと考えています」。

 この言葉を聞くと、時代の変化に喜びを感じるのだが、その一方で、次の言葉で非常に残念な気持ちにもなる。「まあ、雇うのはいいんですが、正直、生産性という観点では諦めないといけませんよね」。

 これが社会の本音だろう。障がい者雇用をやっている多くの企業は、実際のところ障がい者雇用に前向きではない。事実上の“罰金制度”を避けるためだけに、「特例子会社」という、障がい者を雇うためだけの、社内とは別の障がい者の居場所を作る。そして、雇用した障がい者には、健常者と同じ仕事のようにみえる「単純かつ軽い作業」をさせるわけだ。

 筆者が言いたいのは、障がい者は一般的な作業効率において、健常者には敵わないということだ。しかし、これは軽トラックとF1カーがスピードで競うようなものだ。多くの障がい者は、健常者と同じレースで戦おうとするから挫折を味わうのだ。

 当然のことだが、社会のマジョリティ(多数派)は健常者だ。社会のルールを作っているのも健常者だ。会社もそうだ。「健常者みんなで障がい者を差別しよう!」なんて意図的な悪意はなくても、健常者が作っているルールは、当然のことながら健常者に有利なルールになるだろう。

 じゃあ、障がい者はどうすればいいのか。「障がい者=生産性が低い」ことは仕方がないのか。堀江氏がツイッターでつぶやいた「やり方を考えよう」にヒントはある。

 答えは「専門職」だ。専門職とは、作家、漫画家、公認会計士、システムエンジニア(SE)、大学教授、弁護士、心理カウンセラー、エコノミスト、コンサルタント、建築家などのことを指す。

 軽トラックはスピードでこそF1カーには勝てないが、F1カーにはない小回りが利き、荷物を積むことができる。要は「人と違うことをし、戦う軸をずらせ」というわけだ。

 一般的な健常者がほとんど入ってこられない職業に就くことで、やっと健常者と同じ土俵で戦うことができるのだ。一般職や総合職のような職業は障がい者は向いていないだろう。

 だからこそ専門的な分野においてだけは誰にも負けないこと、勝ち続けることだけを意識して、日々専門性を高めていくことが成功の鍵だ。そうすれば間違いなく、“障がい者の生産性”は社会のマジョリティを圧倒する。