黒田日銀総裁の2期目がスタートしました。2%の物価目標を堅持するという従来のスタンスを継続する方針ですが、黒田氏の前には難題が山積しています。

再任された黒田日銀総裁(ロイター/アフロ)

 4月9日、再任後初の記者会見に臨んだ黒田氏は、デフレ脱却のため2%の物価目標を堅持するという方針をあらためて強調しました。市場では今年中に日銀が出口戦略に舵を切るとの見方が高まっていますが、黒田氏は「検討する局面にはない」として、こうした見方を否定しました。

 しかしながら、日銀が表向きどのように説明するのかはともかくとして、事実上の出口戦略に舵を切らざるを得ないというのは市場のコンセンサスとなっています。日銀は量的緩和策の実施にあたって年間80兆円の国債を購入する方針を掲げていましたが、現在では年間50兆円以下と半分近いペースにまで落ちています。つまり量的緩和策をスタートした当初とは状況がすでに大きく異なっているのです。

 一方、物価については、デフレ圧力が強いとの声が大勢を占めていますが、実は足元では着々と物価上昇が進んでいます。総務省が発表した2月の消費者物価指数は代表的な指数である「生鮮食品を除く総合」で前年同月比プラス1.0%、「総合」では1.5%と確実に上昇が進んでいます。4月に入って値上げを実施した企業も多く、今後、物価は確実に上昇していくでしょう。

 物価の上昇が進み、国債の買い入れも徐々に縮小ということなら、日銀にとっては100点満点といえます。それでも関係者が浮かない顔をしているのは、肝心の景気が良くないからです。

 世界景気拡大の恩恵を受け、輸出企業の業績は絶好調といわれています。しかしながら、日銀が4月2日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業で8四半期ぶりに悪化するなど、足元ではマイナス要因も散見されるようになってきました。値下げを敢行した大手スーパーのイオンが過去最高益を更新するなど、消費の弱さを示しています。

 2期目の黒田氏にとって、最大の関門は2019年10月に予定されている消費増税でしょう。前回の増税時には景気が失速してしまいました。今回も同じように失速した場合、量的緩和策のさらなる拡大が求められる可能性があります。これ以上、量的緩和策を拡大すると、効果よりも弊害が大きくなるとの意見もありますが、もし景気が失速するようなら、黒田氏は難しい選択を迫られます。

(The Capital Tribune Japan)