欧州の中では出生率が低いといわれてきたドイツの出生率が向上しています。移民を多数受け入れたことが最大の要因ですが、子育て支援策の拡充も影響を与えているようです。

写真:アフロ

 2015年における先進各国の出生率は、フランスが1.92、米国が1.84、ドイツが1.5、日本が1.45となっています。フランスは1990年代に現在の日本並みに出生率が低下。危機感を覚えたフランス政府は、手厚い子育て支援策を実施し、出生率を急増させることに成功しました。米国は移民が多いことや、子供が大好きという国民性も手伝って、高い出生率を長期間にわたって維持しています。

 こうした中、ドイツの出生率はずっと日本並みという状況が続いており、ドイツ政府は苦慮していました。ところがそのドイツでこのところ出生率が上昇するという現象が見られます。2016年には1.6近くまで出生率が向上した可能性が高いということです。

 最大の理由は移民の増加です。ドイツはもっとも積極的に移民を受け入れてきた国のひとつであり、すでに人口の15%が移民となっています。移民はたくさん子供を産むという傾向が顕著ですので、これが出生率を引き上げているようです。

 これに加えて政府の子育て支援も功を奏したといわれています。ドイツの生産性は極めて高く、ドイツ人の1日あたりの労働時間は日本より2割も短いという特徴があります。残業など考えられないという風潮ですから、日本と比較すると生活にかなりの余裕があるでしょう。女性の社会進出も進んでいますから、積極的な理由で子供を作らない人が多いと考えられます。これまでドイツでの子育て支援は金銭的な支援が中心でしたが、最近は託児所の増設などサービス拡充にも力を入れており、これが効果を発揮したとの見方もあります。

 日本では出生率の低さを問題視する声が多く聞かれますが、一方で子育て支援策を増強することについては極めて消極的です。問題を認識しておきながら対処しないというのは少々不可思議な行動ですが、このままの状態が続くと、人口減少に拍車がかかることは明白です。

 経済成長は、資本と労働力とイノベーションの3つで決まりますから、人口が減れば、経済にとって大きなマイナスとなります。移民の受け入れや女性支援を実施しないのであれば、社会が貧しくなることについて、ある程度、受け入れていく必要がありそうです。

(The Capital Tribune Japan)