大谷翔平のメジャー4度目の先発はアストロズ打線に攻略された(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 エンゼルスの大谷翔平(23)の4度目の先発となるアストロズ戦は5回3分の1を投げ7三振を奪いながら6安打5四球4失点の内容で勝ち負けはつかなかった。その投球内容の特徴をデータから洗い直してみた。

5回のゴンザレス四球時の配球図(参照:BrooksBaseball.net)

 5回、先頭のマーウィン・ゴンザレスを歩かせたとき、マイク・ソーシャ監督が、ベンチで顔を真っ赤にして、抗議している様子がテレビに映し出された。
 
 そりゃそうだ。入ってる。

 枠内の一番下にある青の点がその最後の球。98マイル(158キロ)の4シームが、低めいっぱいに決まったしかし……。

 実はこの日、大谷は5四球を与えているが、主審の厳しい判定もその一因だった。

 2回、ブライアン・マッキャンにこの試合最初の四球を出す。これは最後、フォークが抜けた。
 3回、先頭のデレク・フィッシャーを歩かせたが、この時もソーシャ監督はベンチから声をあげていたのではないか。

 外角低めいっぱいの4シーム。これをボールと判定された。これがストライクなら、1ボール2ストライクと追い込んでいたところ。結果は自ずと、違っていたに違いない。

 同じ回、カルロス・コレアを歩かせる。

3回のコレア四球時の配球図(参照:BrooksBaseball.net)

 低めいっぱい、99マイル(159キロ)の4シームをまたしてもボールと判定された。本当ならこれで2ストライクと追い込むところ。
 
 こうした伏線もあって、あの5回、ソーシャ監督が両腕を大きく広げ、不服を訴えたのである。
 ゴンザレスを歩かせた直後、デレク・フィッシャーに2ランを許すのだから、怒りがしばらく収まらなかったに違いない。

 なお、そのフィッシャーが打ったのは、外角いっぱいの4シーム(155キロ)。
 四球の後ということもあって、真っ直ぐを狙っていたのだろうが、大谷はこの日、左打者に狙いを絞らせないような初球の入り方を徹底していただけに、もったいなかった。

 これまでの3試合、大谷が左打者に対して投げた初球は、4シームが58.3%、カーブとフォークがともに20.8%という比率。そして9人のうち、4人が左というアストロズ打線に対しては、4シームが44.4%、カーブが33.3%、フォークが22.2%と投げ分けていた。左が続くところでいずれも初球にカーブを投げるなど、工夫も見られた。

 ただ、フィッシャーとの対戦では、2回とも初球は4シーム。しかも、先ほど触れた三回の最初の対戦では、6球のうち5球が4シーム。フィッシャーにはなんとく軌道がイメージ出来ていたのではないか。

 あの1球に関して、大谷は「そんなに力のないような球だった」とコメントしていたが、球筋を見ると、確かに平凡。

 横の変化量は投手の右側へ20.4センチ。縦の変化量は36.9センチ。この日、4シームの横の変化量の平均値は14.9センチで、相手打者にはむしろカットして見えたはずだが、20.4センチはまさに大リーグの平均値。相手打者が動かないと錯覚するような、一番捉えやすい球筋だった。

 もっともこの日、早いカウントで4シームを狙っていたのは、おそらくフィッシャーだけではない。

 ファーストストライクが変化球だったケースは13回。相手が振ったのは3回。甘い球でも、平然と見送った。

 実際のところ、今回のように、相手がフォークを捨て、徹底して4シームに狙いを絞ってくるようだと、再び今回のような結果になる可能性はある。

 大谷の4シームの被打率は4割ちょうど。アストロズ戦では、6打数5安打(.833)、1三振。今回で全体の数字が跳ね上がったが、ジョージ・プリンガーには4シームを2安打され、マーウィン・ゴンザレスにはなんと、100.1マイルの4シームを引っ張られた。あの時の打球の初速は107.1マイル(172キロ)。角度がついていれば、打球はスタンドに消えていた。
 
 ではなぜ、100マイル(160キロ)を超える球が、あそこまで完璧にとらえられるのか。その原因はやはり、球質にあるのかもしれない。

 実は今回、その4シームの球質が少し変化していた。

・回転数(1分間)/横の変化量/縦の変化量(いずれも単位はセンチ)

 4月1日  2219/20.4/39
 4月8日  2182/15.2/43
 4月17日 2219/16.8/43.6
 4月24日 2189/14.9/38.1

 大谷の4シームはこれまで、回転数にはさほど変化はない。しかし、最初の3回の先発では、横の変化量が小さくなり、縦の変化量が大きくなる傾向が見られた。これは、回転軸の傾きがやや修正され、少しずつだが進行方向に対し、90度に近づいていったと言える。
 
 しかし、先ほども触れたように、今回は横の変化量は、14.9センチとこれまでで一番小さくなったが、縦の変化量も小さくなった。これまでの流れで考えれば、縦の変化量が大きくなってもおかしくなかったが、この辺りに速くても打たれる理由が潜んでいるような……。

 では、横の変化量が小さくなったのに、縦の変化量が大きくならなかった理由。いろいろたどると、リリースポイントに変化が見られた。