夕日を浴びながら一人ぼっちで遊ぶ子供=シリンゴル盟・スニド・バロン・ホショー(2016年9月撮影)

 日本の3倍という広大な面積を占める内モンゴル自治区。その北に面し、同じモンゴル民族でつくるモンゴル国が独立国家であるのに対し、内モンゴル自治区は中国の統治下に置かれ、近年目覚しい経済発展を遂げています。しかし、その一方で、遊牧民としての生活や独自の文化、風土が失われてきているといいます。

 内モンゴル出身で日本在住の写真家、アラタンホヤガさんはそうした故郷の姿を記録しようとシャッターを切り続けています。内モンゴルはどんなところで、どんな変化が起こっているのか。

 アラタンホヤガさんの写真と文章で紹介していきます。

【写真特集】故郷内モンゴル消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第10回

生まれたばかりの男の子。この子を寝かせているのが、木製のウルゲー(揺りかご)であり、現在は限られた一部の地域にのみ使用されている=フルンボイル市・シニバルグバロン・ホショー(2018年2月撮影)

 子供は民族や国家にとって、一番大切な宝だと思う。私は内モンゴル取材中に、たくさんの子供と出会い、とても貴重な思い出になった。

 子供の遊びや考え方は時代によって異なる。遊牧社会の崩壊、市場経済の発展、日常生活の現代化などで、彼らの生活は私たちの時代とは随分、異なってきた。

 遊牧民の普遍的な問題になっているのは、一人っ子が多いことだ。80年代半ばからの一人っ子政策の影響で、兄弟がいない子が多い。集落を訪ねても、学校の休み以外のときには、子供の姿があまり見かけなかったのがとても寂しかった。

 日本と同様、田舎はお年寄りが多くなり、若者はますます、遊牧生活を離れ、街に出ているのが現状だ。(つづく)

※この記事はTHE PAGEの写真家・アラタンホヤガさんの「【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第10回」の一部を抜粋しました。

内モンゴル自治区の地図


アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA)
1977年 内モンゴル生まれ
2001年 来日
2013年 日本写真芸術専門学校卒業
国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。
主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。