初めてオーストラリアに行ったのは今から12年前。シドニーを中心に回った撮影だったので、ここに滞在したのはわずか1日。記憶に残っているのは、波打った屋根が夕日に照らされたサザンクロス駅。移動の慌ただしさから、ほっと一息ついたホテルの窓から見えた風景だ。

 英国のエコノミスト誌の調査部門で「世界で最も住みやすい都市」に7年連続で1位に選出されている街、オーストラリアのメルボルン。昨年日本からの直行便も増え、観光でも注目されているという。“世界一住みやすい街”とは一体どんなところなのだろうか。あれから12年、そんなメルボルンの街を再び旅した。

フォト・ジャーナル<世界で最も住みやすい街メルボルンへ>倉谷清文第11回

市民の足であるトラムは観光にも便利

 東西に約2km、南北に約1kmのメルボルンの中心地をCBD(セントラル・ビジネス・ディストリクト)という。碁盤の目のように道路が通り、トラムが走っている。メルボルンのトラムは郊外にまで続く全ての系統路線を含めると、その長さは世界一らしい。この中心地のエリアは無料なので市内観光の移動にも便利だ。

メルボルンの街を眺めながら。コロニアルトラムレストランにて

 そんなトラムが便利なメルボルンだが、乗り継ぎの交差点で不思議な光景をよく目にした。車が右側のウインカーを点滅させ、交差する道路を塞ぐように停車しているのだ。

 オーストラリアも日本と同じで車は左側通行。標識のあるトラムが走る交差点で右折をしたい場合、一番右側のレーンではなく、一番左側のレーンに寄せる。青になったら進み交差点の途中で停止。前方が赤になったらそこから右折する。メルボルンCBDでの独特の交通ルールで、フックターンと言われるもの。日本の原付バイクにある二段階右折のようなルールで、トラムが走るメルボルンならではの光景だ。

トラムレストランでは本格的なコース料理とオーストラリアワイン

 メルボルンで人気のツアーに、古い車体を改装したトラムレストランがある。内装もクラシカルで雰囲気があり、メルボルンの人達もちょっとした記念日におしゃれして利用するそうだ。メルボルンの街並みを眺めながら本格的なコース料理が楽しめるので、いつも予約で一杯だ。

※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<世界で最も住みやすい街メルボルンへ>倉谷清文第11回」の一部を抜粋しました。(つづく)

(2018年3月撮影・文:倉谷清文)