1年前はおろか、半年前ですら、現在の状況を予測できた人はどのくらいいたのだろうか。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は27日に南北の軍事境界線上に位置する板門店(パンムンジョム)の韓国側に設けられた「平和の家」で首脳会談を行い、「完全な非核化」を目標とする板門店宣言に署名した。完全なる非核化の実現がどのようなプロセスで行われるかに関しては言及されなかったものの、国際社会ではこの首脳会談を好意的に捉える国が多く、米朝首脳会談を前に言動に注目が集まっていたアメリカのトランプ大統領も「いくつもの素晴らしいことが起きた」という表現で評価した。5月中の実施が濃厚となりつつある米朝首脳会談では、どのようなものになるのだろうか。

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トランプ大統領「状況はいい方向」

[写真]トランプ大統領はミシガン州の集会で5月中にも米朝首脳会談が開かれるだろうと見通しを述べた(ロイター/アフロ)

 トランプ大統領は28日、米ミシガン州での集会に集まった支持者らに対し、「3、4週間以内に会談を行うだろう」と語っている。つまり、6月になるかもしれないとも伝えられてきた米朝首脳会談が、5月中に実施される可能性が一気に高まったのである。トランプ大統領は同じ日に行ったツイートで、「韓国の文大統領と長時間にわたって素晴らしい話し合いをした。状況はいい方向に向かっており、北朝鮮との会談の時期や場所も決まりつつある。日本の安倍首相にも現在進行中の様々な交渉について、情報を与えておいた」と語っている。

 国際政治学者のイアン・ブレマー氏は、トランプ大統領のツイートを取り上げ、「現在の日本は情報を教えてもらうだけの存在。(北朝鮮に関する)交渉事では完全に蚊帳の外に置かれている」という厳しい見方を示したが、アメリカを含む他の国々が北朝鮮政策における動きを加速させているのは紛れもない事実だ。ポンペオ米国務長官は、就任する前のイースター期間中(3月末~4月初旬)に、中央情報局(CIA)長官という肩書で北朝鮮を電撃訪問。金正恩委員長と平壌で会談を行ったが、これは米朝首脳会談に向けての地ならし的な意味合いが強かったとされている。