正午前、アンマン郊外にあるNGO団体Homs League Abroadで補修授業を終えた子供達は大きなバンに乗って学校へ向かう(2018年4月10日)

内戦が続くシリア。4月初めにアサド政権側が行ったとされる化学兵器とみられる攻撃に苦しむ子供たちの姿は、国際的にも大きな衝撃を与え、アメリカ、イギリス、フランスの3カ国による攻撃にもつながりました。

その隣国ヨルダンでは、大勢のシリア難民が暮らしています。内戦の最大の被害者とも言えるシリア難民の子供たちは今、どのような生活を送っているのでしょうか。4月8日から13日にかけて、フォトジャーナリスト岩村優希さんがヨルダンの首都アンマンを中心にシリア難民の子供たちが通う学校や学生たちを取材しました。


【写真特集】いつか母国を再建して―隣国ヨルダンで学ぶシリア難民の子供達

ヨルダンの子供たちと一緒に授業を受けられない

幼稚園に通う子供達がダンスの授業を楽しむ様子。施設に通う小さな子供達には、補習授業の代わりにシリアの伝統的な歌やダンスを教えられている(2018年4月10日)

中東の国ヨルダンは、北はシリア、東にイラクといった内戦や紛争のニュースで名前をよく知られた国に接しているが、過去20年間大規模な暴動等もなく、ペトラ遺跡や死海といった観光資源に恵まれ、訪れる観光客も多い。

しかし過去8年に及ぶ隣国シリアの内戦で、ヨルダン全域には約65万人のシリア難民が生活している。ヨルダンには、アズラック、ザータリという2つの主要な難民キャンプがあるが、キャンプ内で暮らしているのはわずか15%で、およそ難民の85%は都市難民として暮らしているとも言われている。(国連推定)

私はアンマンで活動する3つのNGO団体に連絡を取った。その内の1つに、シリア難民の小学生から高校生の子供たちが通う学校がある。

Homs League Abroadと名付けられたこの学校は、シリアの内戦で必要な教育が受けられなかったり、移住後に足りない教育時間を補うために設立された、いわば“塾”だ。3年前につくられ、現在1歳から18歳の約70人の子供達が通う。全員がシリアを追われた難民だ。

ヨルダンの首都アンマンで暮らすシリア難民の子供達は、ヨルダン人の子供達と一緒に授業を受けることは許可されていないという。ヨルダン人の子供達は朝8時から学校に行けるが、シリア難民の子供達は正午に登校する。また与えられた授業時間は午後4時までの毎日わずか4時間だけだ。そのためこの施設では、足りない授業時間を補うため、子供たちに対し、学校の就業時間前後に、英語や数学などのクラスを提供している。

この学校のマネージャーであるナダ・バルグースさんは「1日わずか4時間の授業で、難民の子供達の教育レベルは非常に低下している」と説明する。内戦以前のシリアは、多くの大学や整った教育制度があり、現在のヨルダンと比べても高い教育水準にあったそうだ。

難民は、内戦による心と身体の傷を抱えている子供もおり、中には4年間全く教育を受けることができなかった子供もいたそうだ。そのため勉強に意欲的ではない生徒も多い。

だが、私がNGOスタッフに「子供達の将来に何を願う?」と尋ねると、こうした状況下でも「いつか子供達がシリアに帰国し、国を再建してくれることを願っている」と話していたのが印象的だった。