日本の3倍という広大な面積を占める内モンゴル自治区。その北に面し、同じモンゴル民族でつくるモンゴル国が独立国家であるのに対し、内モンゴル自治区は中国の統治下に置かれ、近年目覚しい経済発展を遂げています。しかし、その一方で、遊牧民としての生活や独自の文化、風土が失われてきているといいます。

 内モンゴル出身で日本在住の写真家、アラタンホヤガさんはそうした故郷の姿を記録しようとシャッターを切り続けています。内モンゴルはどんなところで、どんな変化が起こっているのか。

 アラタンホヤガさんの写真と文章で紹介していきます。

【写真特集】故郷内モンゴル消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第10回

幼稚園の冬休みに田舎に戻り、両親の手伝いをする女の子。産まれたばかりの仔羊を間違わずに母羊の所に連れていき、乳を飲ませる=シリンゴル盟・スニド・バロン・ホショー(2013年1月撮影)

 私は滞在中、親の手伝いをする子供に何回も会った。冬の遊牧民の様子を取材しているとき、一人の女の子と出会った。彼女は6歳で、普段は家を離れて祖母と町に住んで幼稚園に通い、休みの時にだけ、両親の元に帰ってくる。

 とても6歳とは思えないほど勤勉な子だった。毎朝両親を手伝って、生まれたばかりの仔羊に、母羊を探してあげて、乳を飲ませる。

 そしてお父さんと一緒に、1キロ離れた井戸まで羊の群れを追っていき、水を飲ませる。マイナス20度以下の冬の寒い日に1キロ以上の道のりを歩くことは想像以上に厳しい。彼女は両親を手伝うことよりも、両親と一緒にいる時間を大切にし、それを楽しんでいるように感じた。そして、たくましく育っていることに感動した。(つづく)

※この記事はTHE PAGEの写真家・アラタンホヤガさんの「【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第10回」の一部を抜粋しました。

内モンゴル自治区の地図


アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA)
1977年 内モンゴル生まれ
2001年 来日
2013年 日本写真芸術専門学校卒業
国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。
主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。