イチローのフロント異動と生涯契約は全米に衝撃を与えた(写真・USATODAY/ロイター/アフロ)

マリナーズのイチロー外野手(44)のロースターを外れ選手としては残り試合に出場せず、球団の会長付特別補佐に就任したニュースは全米に衝撃を走らせた。
 地元紙のシアトルタイムズ紙は、「イチローは25人ロースターから外れるが、球団組織に残る」という見出しで報じた。 同紙によると、イチローを特別補佐に就任させる決断は、今週の月曜日(日本時間5月1日)に下されたという。
「決断は月曜日だが、スプリングトレーニング中にフリーエージェントのイチローと契約したときから、話し合われてきたことだ」としており、いずれ故障していた外野手のギャメルが復帰してくることを想定して、契約時から、この生涯契約、フロント異動プランが進められていたようだ。

 同紙は、イチローの今後の役割と今シーズンの残り試合に出場できない理由も解説した。
 球団の発表によると、イチローの役割は、「メジャーリーグのスタッフ、ハイパフォーマンススタッフ、フロントオフィスに協力する。経験に基づき、外野、走塁、打撃を助け、選手とスタッフの助言者」となっている。
「とても広い定義だが、単純に言えば、試合に出ないこと以外は、これまでやってきたことと同じことをするということだ。試合前にはユニフォームを着て打撃練習をするし、守備練習もする。しかし、メジャーリーグの規定により、ダグアウトに座ることはできない。プレーをしない、プレーイングコーチと言えばいいのだろうか?」と、イチローの今後の役割をプレーイングコーチと表現した。
さらに同紙は「引退ではない」と強調したうえで、イチローの会見で発した印象的な言葉を取り上げた。「僕が杖を使い始めたら、それが引退しなければいけないと考える時だと思う」
 またディポトGMは、イチローが来年の3月20、21日に東京ドームで開催されるアスレチックスとの日本開幕戦で限定的に現役復帰する可能性も否定しなかったと伝えた。

USAトゥデー紙は、「本塁打時代の最後の選手」というタイトルでイチローの意義を報じた。
同記事は、「イチローは常にユニークな選手だった。一塁ベースへ一歩踏み出すようなバッティング、ストレッチの儀式、ファーストネームだけで人物が特定できる。イチローが2001年にメジャーでプレーし始めてから、イチローは唯一無二の存在で、模倣できないことをはっきりさせた」と書いている。

そして、イチローのように安打を量産する選手たちは、過去のメジャーにもいたとしている。
「イチローが来る前には、野球殿堂入りのロド・カルー、トニー・グゥインがボールを全ての方向に打ち返し、長く首位打者のタイトルを取っていた」と付け加えた。
メジャーリーグは、イチローがプレーした18シーズンの間に変化した。
 データと統計を重視し、得点に結びつく本塁打が重視されるようになっている。
同紙は「イチローがプレーする役割を離れ、恐らく二度とダイヤモンドに戻ってこない今、シングルヒットを打つバッターは、だんだんと時代に合わないものになってきている。マリナーズのチームメートであるディー・ゴードンも数少なくなった選手のひとりだ」と、2001年からの野球の変化を説明した。
そして、「こういった傾向は残念なこと。なぜなら、バッティングアーティストのイチローが表現した18年は、三振したバッターがダグアウトに引き上げるのを見るよりも、とても楽しいことだったからだ」と賞賛した。
記事では、プロバスケットのNBAでも3ポイントショット重視になっている傾向について触れ、「それと同じことだ」と説明。「彼のスキルが惜しまれる」と結んだ。

またMLBの専門テレビであるMLBネットワークは、監督業から引退したルー・ピネラのインタビューや、イチローの選手の功績をまとめた特集映像を数分にわたって放送した。
米メディアは、イチローは「引退ではない」と伝えながらも、他のスター選手の引退時と似たような取り上げ方が多く、その偉大なる功績を振り返っている。