100円ショップで有名なダイソーが、300円均一で商品を提供する新しい業態をスタートさせました。これにはどのような意図があるのでしょうか。

写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ

 ダイソーは今年3月、「THREEPPY」という新業態の店舗をイオンモール座間(神奈川県座間市)に出店しました。300円の商品を中心とした商品で構成されていますから、300円ショップと言い換えてもよいでしょう。

 具体的な商品ラインナップは、ポーチなどの小物やキッチン用品など、女性を意識したものが多く、既存の100円ショップとは印象が異なります。300円均一で、女性向けの小物などを扱う店舗は、徐々に増加しており、都市部の駅ナカなどに出店するケースが多いといわれています。ダイソーはこの市場に目を付け、トライアルとしてイオンモールでの出店を行ったわけです。

 ターゲットとする顧客層が違っているので、既存の100円ショップとは別業態ということになりますが、必ずしもそうとは言い切れない部分もあります。なぜならマクロ的な経済環境の変化によって、100円ショップという業態の存続が徐々に難しくなっており、より単価の高い業態へのシフトを模索しているからです。

 日本はデフレ一色という雰囲気であり、日本ではインフレはあり得ないといった声まで聞こえてきます。しかし現実にはジワジワと物価は上昇しています。消費者物価指数は前年同月比で何%と発表されますから、あまりピンとこないかもしれませんが、過去5年で日本全体の物価は5%以上、上昇しています(総合指数月次)。

 お菓子など食品類の内容量が減っていることはすでに多くの人が認識していると思いますが、値段が同じでも内容量が減ればそれは立派な値上げです。原材料価格は中国やアジア経済の成長で今後も高騰が予想されており、それに伴って物価も上がっていくことになります。

 そうなると100円ショップもいつかは価格を引き上げるという決断が必要となるかもしれません。300円ショップといった新業態へのトライアルはそうした事態への準備という側面があるわけです。

 ちなみに日本で100円ショップがあるように、米国では1ドルショップがあります。均一価格の店舗はかなり昔から存在しており、かつては5セント・ストアや10セント・ストア(ダイム・ストア)などと呼ばれていましたから、インフレの進行に伴って名称を変えてきたことが分かります。日本でもインフレが進んだ場合、100円ショップという名称は消滅しているかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)