小野金六『当代の実業家 人物の解剖』実業之日本社編より

 コメ、生糸相場で一躍、実業家の仲間入りを果たした小野金六はひとつの事業に失敗しても、めげるどころか、かえって闘志を掻き立てられ、新しい事業に果敢な挑戦を続けました。不発に終わった石油、印刷機事業のあと、金六はどこへ向かっていったのでしょうか? 市場経済研究所の鍋島高明さんが解説します。

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 新潟の石油開発に失敗した小野金六は次なる標的を印刷機と定めるが、これも失敗する。だが、印刷機と一番縁の深い印刷用紙に着目する。これでは大仕事をやってのける。

 当時、印刷用紙はほとんど輸入に頼っていたが、小野は同志の間を奔走して資金をかき集め、富士製紙会社を興した。富士製紙は株価も高騰したとみえ、こんな川柳が残されている。

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