農林中央金庫が、農協(JA)などから受け入れている預金の金利を引き下げる方針を固めました。一部の農協は、農林中金からの運用益の還元が減ると、財政的に苦しくなる可能性があります。農協は今後、さらなる経営努力が求められることになるでしょう。

 農林中金は、かつては特殊法人でしたが、現在は民間金融機関となっており、JAバンク・グループの一員として業務を行っています。当初は、農林水産業を支援する目的で設立されましたが、現実には、各地のJAバンクに預けられた預金を集め、一括運用する機関としての役割が濃くなっています。

 現在、農協は農家を中心に100兆円ほど預金を集めていますが、このうち60兆円ほどが農林中金に送られ、有価証券などで運用されています。農林中金の資金のうち、農家への融資に回っているのはごくわずかであり、一般的な運用機関と何ら変わらないという状況です。農林中金が、農家のために存在するというのは、有名無実になっていると考えてよいでしょう。

 むしろ農林中金は、比較的高い預金金利を提示することで、農家というよりも、各地域の農協の経営を支援していたというのが実態です。農林中金による高い利率の預金がなくなると、経営が苦しくなる農協も多いと言われています。

 農協と農林中金は持ちつ持たれつの関係だったわけですが、こうした状況を崩すきっかけとなったのが低金利です。量的緩和策の実施以降、金融機関は低金利による運用難に苦しんでおり、それは農林中金も例外ではありません。このままでは、高い預金金利を維持することが難しくなっており、利払いの仕組みを抜本的に見直すことになりました。

 農協と農林中金のあり方については、与党内でも様々な意見が出ており、2017年には当時、自民党の農林部会長だった小泉進次郎氏が農協と農林中金に対して強く改革を迫る場面もありました。

 農林中金に集中していた預金が分散することになれば、余剰資金が生まれ、農業の生産性向上など新しい分野に資金が回る可能性が見えてきます。しかし、JAバンク・グループがこうした高度な融資を実行していくのは並大抵ではなく、場合によっては運用先が見つからず、利子による収益が低下する可能性もあります。預金の金利に依存していた地域農協の中には、経営が苦しくなるところが出てくるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)