伊藤美誠はただ一人中国に土をつけた。なぜ彼女は勝てたのか(写真・アフロ)

「世界卓球2018(団体戦)」で銀メダルを手にした日本女子代表選手たちが大会開催地のスウェーデン・ハルムスタッドから帰国した。世界2位は十分に誇らしい成績だが、3大会連続準優勝にとどまった彼女たちには悔しさのほうが大きい。同大会4連覇、通算21回目の優勝を果たした世界王者・中国の牙城をまたも崩すことができなかったからだ。ちなみに日本女子の優勝は1971年名古屋大会までさかのぼり、今大会には実に47年ぶりの王座奪還がかかっていた。

 3試合先取制の世界卓球団体戦で日本は中国に1勝3敗で屈した。唯一、勝利をもぎ取ったのは1番手起用の伊藤美誠(スターツSC)。日本人選手に37戦負けなしの劉詩ブンとフルゲームの接戦にもつれ込み、マッチポイントを握られてから4連続得点を挙げる劇的な大逆転勝利を収めた。

 この勢いに乗りたかった日本は2番手の平野美宇(日本生命)が世界女王の丁寧と、3番手の石川佳純(全農)が世界ランク2位の朱雨玲と対戦し、平野は第2、3ゲームで10-10のデュースまで丁寧を追い詰めたものの、いずれもストレートで敗退。決着は4番手で再登場した平野に託されたが、伊藤に負けた劉詩ブンが今度は平野をストレートで下して中国に軍配が上がった。

 世界卓球団体戦では2004年ドーハ大会以来、8大会ぶりに中国から白星を奪った日本の伊藤。その勝因にはまずサーブ・レシーブの良さがあった。派手なラリーと違ってわかりにくいが、劉詩ブンとの一戦ではサーブ・レシーブを起点とした駆け引きが随所に見られ、特にロングサーブは鍵を握ったと言える。

 伊藤は持ち前の軟らかい手首を駆使し、強い横回転をかけるチキータや逆チキータをはじめとする多彩なレシーブを武器に持つ。これを警戒した劉詩ブンはネット近くに落とすフォア前への短いサーブとバック側を深く突くロングサーブを織り交ぜ、伊藤のレシーブを崩そうと試みた。これに対し伊藤は特にバック側に来るロングサーブを素早く回り込んでフォアレシーブで強打。自分のサーブ時には得意の巻き込みロングサーブで劉詩ブンのボディー、いわゆるミドルを狙い体勢を崩してレシーブミスを誘った。こうして先手を取り得点につなげた場面は非常に多く見られた。