内川の2000本を支えたのはMLBでも首位打者が取れると評価されたほどの右打ち技術だ(写真は資料)

生みの苦しみを味わってソフトバンクの内川聖一(35)が9日、メットライフドームで行われた西武戦で通算2000本安打を達成した。西武の左腕、武隈祥太から8回の第4打席でセンター前ヒットを放った。NPBでの2000本安打達成は、昨年9月に達成した阪神の鳥谷敬以来、史上51人目。現時点での通算打率は.308で.歴代通算では11位となるが、右打者に限って言えば、1位のブーマー・ウェルズの.317、2位の落合博満氏の.3108に次ぐ3位の記録だ。実は、そのバットコントロールと、右打ちの技術にメジャーが目をつけ、「メジャーで首位打者を取れる」の評価まであったーー。

 打った瞬間、声をあげ、ベンチにむかって右手拳を突き出した。何度も手をたたき満面の笑み。まるでサヨナラヒットでも打ったようだ。かつて2000本の瞬間にこれほどの喜びを表現した打者がいただろうか。
 8回一死一塁。西武の左腕・武隈のアウトコース高めの失投の変化球をセカンドの頭の上へと運んだ。内川らしい計算し尽くされた右打ちだった。
 2002年4月24日の中日戦でギャラードから打ったプロ初安打もライト前ヒット。そこから積み重ねた1800試合目にしての2000本目の記念ヒットも職人らしいヒットだった。
 試合は、しばし中断。西武の2000本安打の先輩である松井稼頭央から花束で祝福され、記念のプレートが渡された。次に5月2日のロッテ戦からセレモニーに備えて遠征に帯同していた王貞治会長からも花束を贈られ、記念写真に収まった。代走・川島慶三が送られ、交代となった内川はベンチの前で綺麗に並んだ全員と逆向きから走ってハイタッチ。最後は心配していた工藤監督と抱き合った。2000本にマジック「2」と迫ってから5試合、王手をかけてから14打席も足踏みしていた。
「心技体が揃ったときに打てる」
 それが内川のモットーである。
 2試合、14打席ヒットがなく「打席のなかで、自分が自分でないような、ちょっとふわふわした感じで、ずっと打席に入っていました」と言う。想像以上の2000本フィーバーに意識過剰となり、それがプレッシャーへと変わり、心技体の「心」の部分が壊れてしまっていた。
「敵味方関係なく、これだけの声援をもらえる。野球選手冥利につきます。個人的な記録ですが、僕にとって歴史に残る日になった」
 3-0でチームが勝利したこともあって、敵地でインタビューを受けた内川はしみじみと語った。