大谷の進化に対戦相手も困り果てている(写真・アフロ)

 エンゼルスの大谷翔平(23)が1球で仕留めたボールはアウトコースに落ちるシンカーだった。
大谷は10日(日本時間11日)本拠地でのツインズ戦に「5番・DH」でスタメン出場。2点リードで迎えた7回二死走者なしの第4打席で、ツインズの三振奪取率の高い中継ぎの変則右腕、トレバー・ヒルデンバーガーの初球をバットの芯で捉えた。快音を残した打球はバックスクリーンの左にある人工岩山の奥の方まで飛んだ。ダメ押し点となる7試合ぶりの5号ソロ。エンゼルスの公式サイトによると、スタットキャストの計測では打球速度は108.7マイル(約175キロ)で飛距離は大谷のメジャー最長弾となる414フィート(約126メートル)あったという。

 大谷は3回の第2打席でも二死二塁から右中間にライナーでタイムリー二塁打。このボールもアウトコースへ落としてくるチェンジアップだった。今季7度目のマルチ安打で、DHとしての出場16試合で14試合にヒットをマークし、打率.354、出塁率.400、長打率は.677に上昇した。

 エンゼルスの公式サイトは、この二塁打&本塁打の配球をクローズアップした。
「大谷の二塁打と、本塁打は、いずれも外角の球だった。過去に他球団のスカウトや専門家が説いていた“高めと内角”という大谷攻略のセオリーからは外れたものだった」
 つまり大谷の攻略に困り果てたライバル球団が、新しい配球を試みたが、それも通用しなかったのだ。
 この相手バッテリーの配球の変化について、大谷も通訳を通じて「初めのころは今よりも内角に投げられていた感じがする。良く打てていたし打率も残せていたので外角に逃げる球を試しているのかもしれない。まだ自分に対して、どのような投球をするかわかっていないように感じている。自分も同じなので、すべては、まだ進化している過程」とのコメントを残している。

 同サイトは「進化の過程という点で言えば、大谷は開幕直前にスイングを修正していた。投手がふりかぶったときに右足を高く上げることをやめて、つま先を立ててすり足で打つように打撃フォームを変えている」と今さらながらの指摘を行った。千葉ロッテ時代に対決経験のある評論家の里崎智也氏は、大谷のメジャーに渡ってからの進化をこう分析している。

「日ハム時代には、インサイドを引っ張るということをしなかった。インサイドは、センターへという意識だった。だが、4月27日のヤンキース戦では、右腕、ルイス・セベリーノのカウント1-1からの156キロのインサイドへのストレートを思い切り引っ張ってライナーで本塁打にした。ノーステップ打法にすることで、インサイドへの対応が進化したのだろうと思う。基本、大谷を抑えるためには、インサイドを厳しく攻めなければならないが、あれを見せられると他チームのバッテリーもデータが入ってくるので攻めにくくなったのだろう。外の変化球という配球が増えた。大谷は、おそらく球種ではなく、内、外と、コースに狙いを絞って1球、1球読んでいるタイプ。相手のバッテリーの配球に明らかに傾向が出ているので、外のボールは絞りやすい。しかも、大谷の凄いのは、それを打ち損じないことにある」

 バッターの狙いの絞り方にはいろんなタイプがある。名将、野村克也氏は、それをABCDの4つに分類していて、ストレートを待って変化球に対応するタイプを「万能型」と評価したが、大谷は、里崎氏の分析によると、どうも球種ではなく、内角、外角のコースに絞って待つタイプのようだ。
 配球を巡るデータ戦争は「後手に回った方が負け」も、ノムさんの教えだが、今現在、大谷と対戦する相手チームのバッテリーは、完全に後手、後手に回らされている。大谷の進化についていけないのだ。

 これだけの驚異的な進化を見せながら大谷自身は「まだ完璧ではない。毎日、毎打席調整している。悪い打席も時々あり、修正が必要。完璧に修正できているとは感じていない」と謙虚に語っている。