平昌五輪では金とザギトワ(左)と銀のメドベージェワ(右)をトゥトベリーゼコーチ(中)が抱き寄せ蜜月に見えたのだが(写真・アフロ)

 平昌五輪の銀メダリスト、エフゲニア・メドベージェワ(18)がロシアからカナダに練習拠点を移しコーチを変更する問題が波紋を広げている。メドベージェワは、先日、ロシアの“鉄の女“と呼ばれるほどの厳しい指導で知られるエテリ・トゥトベリーゼ・コーチ(44)の元を離れ、練習拠点をカナダ・トロントに移してブライアン・オーサー・コーチ(56)の指導を受けることを明らかにした。オーサー・コーチは平昌五輪で連覇を果たした羽生結弦(23、ANA)の担当コーチ。女子選手では、かつてバンクーバー五輪の金メダリスト、キム・ヨナ(27、韓国)を指導した。

 環境とコーチを変えることはスケーターにどんな影響を与えるのか? 2022年の北京五輪を狙うメドベージェワは、オーサー・コーチとのタッグで雪辱の金メダルを獲得することができるのだろうか?

 フィギュアスケート界では練習拠点とコーチを変更することは珍しくない。最近では本田真凜(16)が、関大のリンクと浜田美栄コーチの元を離れ、米国ロスへと拠点を移し今年の世界選手権王者であるネイサン・チェン(19、米国)を指導しているラファエル・アルトゥニアン・コーチに変更した。

 元全日本2位で現在、後進を指導している中庭健介氏は、「タイミングとしては五輪後に行われることが多いですね。次の五輪までの4年間というスパンで、様々な理由で環境やコーチを変える選手が出てきます。成功する人もいれば、失敗する人もいます。慣れない他国での生活にストレスを感じて練習に集中できないというパターンの選手もいます。難しい選択であることは確かです。ただ、全ては選手自身がこれからどうしたいか?どうなりたいか?その環境、コーチを変えた目的や理由によって成否は変わってくると思います」と説明する。

 過去の成功例で言えば、トリノ五輪金メダリストの荒川静香氏は、ロシアのタチアナ・タラソワ・コーチからアメリカ在住だったニコライ・モロゾフ・コーチへ指導者を変更したことが快挙へとつながった。オーサー・コーチに師事するハビエル・フェルナンデス(スペイン)も平昌五輪で銅メダルを獲得した成功例。

 だが、一方でパトリック・チャン(カナダ)は、環境、コーチの変更を繰り返して、うまくいかず、キム・ヨナ(韓国)も、バンクーバー五輪での金メダルを獲得後、オーサー・コーチと決別。非難の応酬合戦を演じたあげく、一時、ロスを拠点とするミッシェル・クワンの義兄、ピーター・オペガード・コーチに変更したが、ソチ五輪前には、韓国のコーチに変えるなどコーチ問題で紆余曲折して五輪連覇を逃している。

 環境、コーチ変更は、時には失敗をも伴う「ハイリスク、ハイリターン」なのだ。