3階級制覇へ向けての練習を公開した井上尚弥(中)。左は父でトレーナーの真吾さん、右は大橋秀行会長

WBA世界バンタム級王者、ジェイミー・マクドネル(32、英国)に挑戦する(25日・大田区総合体育館)、元世界2階級王者の井上尚弥(25、大橋)が16日、横浜の大橋ジムで公開練習を行った。階級をひとつ上げたことで悩まされてきた減量から解消されコンディションは万全。この試合に勝つことを条件にバンタム級の最強決定賞金トーナメント、ワールドボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)への参加オファーが届いており、「出ると書いておいてください。ただ今は、この25日の試合に集中する」と明言した。「歴史に名を刻む試合をする」。そう宣言した井上の3階級への挑戦に世界が注目している。

 頬がこけていない。
 これまで試合を直前に控えた公開練習では、減量と疲労がピークで、別人のように衰弱した井上尚弥を見るのが恒例になっていたが、バンタムへ階級を上げることになった今回、その悲壮感はなかった。練習の合間にはプロテインさえ胃袋に流し込んでいた。

「1.4キロ違うだけですが、かなり体調が楽ですね。余裕があるので、この時期にもプロテインが飲める」
 すでに53、52キロのリミットまで残り4キロ。

 1階級上げる体重差は、たかが1.4キロだが、血のにじむような思いで肉体を削ってきた井上にとって、宝物のような1.4キロとなっている。

 公開練習では思い切り右を打ち込んでいた。出来は過去最高に近い。かつて拳の故障に悩まされていた時期もあったが、手術して以来、不安は消えた。因果関係はハッキリしないが、減量による影響で骨密度が下がることも故障の原因とも言われており、こんなところにも減量解消のプラス効果が出ているのかもしれない。

 大橋ジムも3階級制覇に向けて万全のバックアップ体制を敷いてきた。
 スパーリングパートナーは「英国人には独特のリズムからあるから」(大橋会長)と、178センチと長身の王者を想定して同じような長身ボクサーを英国、中国、フィリピン、メキシコの4か国から呼び、約80ラウンドを消化した。しかも「子供がいるので家にいると昼間に休めないんです」という井上の生活環境に配慮してホテルを用意。生活の中で一人で悶々と考える時間を作らないように練習時間も夜の時間帯に変え、また食事も、専属の栄養士と、ジムの2階にある和食店「金谷」の協力を得て塩分をカットした特別メニューを提供してもらった。週に2、3度は、可愛い息子の顔を見るために自宅に帰るが、「挑戦者なのに環境を整えてもらった。集中できた」と井上も、VIP待遇に大満足、感謝の言葉を口にした。

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