政府が、2021年度における財政収支の赤字額を名目GDP(国内総生産)の3%以内にするという新たな財政再建目標について検討を開始したと報道されています。2020年度に基礎的財政収支を黒字化するという従来目標の実現が困難になったことから基準を下げた格好ですが、どのような影響があるのでしょうか。

アフロ

 これまで日本政府は2020年度までに基礎的財政収支を黒字化することを公約として掲げてきました。しかし、最新の内閣府の試算によると2020年度の基礎的財政収支は10.8兆円の赤字で、今のままでは到底、黒字化を達成できる状況ではありません。

 政府が財政再建を放棄したと市場から認識されてしまうと、国債の金利が上昇し、大幅な緊縮財政を余儀なくされる可能性が出てきます。こうした事態を防ぐため、政府は財政再建を諦めていないというメッセージを市場に対して発する必要があったわけです。

 報道によると政府が検討しているのは、基礎的財政収支ではなく財政収支の赤字額をGDPの3%以内にするという新しい目標です。基礎的財政収支と財政収支は言葉は似ていますが、中身は異なります。基礎的財政収支は、国債の利払いと償還費を除いた歳出と、国債発行収入を除いた歳入に関する財政収支のことを指します。一方、財政収支は利払い費なども含めた総合的な収支です。

 先ほどの内閣府の試算によると、同じ条件で計算した場合、財政赤字をGDPの3%以内にするという目標であれば、何とか目標達成が可能となります。つまりハードルを大幅に下げたわけですが、これに対して市場がどう反応するのかは何ともいえません。

 仮に、2020年度までに基礎的財政収支を黒字化するという目標を数年遅らせた場合でも、政府がしっかりコミットするという姿勢を示せば市場の理解は得られた可能性があります。しかし、一方的に目標を下げ、それをもってして財政再建を達成したとするロジックはかなり無理があります。場合によっては日本が財政再建を放棄したと認識する投資家も出てくるでしょう。

 国際社会には様々な国があり、虚偽の統計を発表したり、経済の調子が悪くなるとモノサシの方を変えてしまうところもあります。しかしながら、そのような国は、国際市場で高い評価を得ることはできません。目標を達成できないからといって基準そのものを変えてしまうことには慎重であるべきでしょう。

(The Capital Tribune Japan)