王者のマクドネルが練習を公開したが、現体重の公表は断固拒否した

WBA世界バンタム級タイトルマッチ(25日、東京・大田区総合体育館)で井上尚弥(25、大橋)が3階級制覇に挑戦する王者のジェイミー・マクドネル(32、英国)が21日、横浜市内の大橋ジムで練習を公開してメディアインタビューに答えた。昨年一度スーパーバンタム級への転向を宣言したことがあり、178センチの身長に加え、その体格に体重超過が不安視されているが、本人は現体重の公開を「言いたくない」と拒否した。科学的トレーニングを導入後、減量不安を解消したと強調するのだが……疑念は晴れなかった。世紀の対決に水を差すような事態が起きないことを祈るばかりだ。

マクドネルは同王座を6度防衛している最強王者、右はチーフトレーナーのコールドウェル氏

 マクドネル陣営は総勢11人でやってきた。ホリー夫人と、まだ3歳半の長女サスケアちゃんと、ホリー夫人の両親。中には、総合格闘家のような2メートルを超えている巨漢の男もいたが、単なる友達だという。
 マクドネルは、一流の王者が持つ風格を漂わせながら笑顔で、こう話した。

「バンタム級最強のマクドネルが最強の井上とぶつかる。金曜に、私が最強であることを証明する。100パーセント勝つ自信はある。12週間かけて万全の準備をしてきた」
 日本への移動距離の負担と時差を考えてドバイで直前にキャンプを張り、早朝にトレーニングするなどの時差調整も行ってきた。 

 デーブ・コールドウエル・チーフトレーナー兼マネージャーも言う。
「井上はダイナマイトなパンチを持った素晴らしいファイターだ。そしてボクシング頭脳も持っている。リスペクトもしている。ただしバンタムより下の階級での名王者に過ぎない。じゃあバンタムでは誰が最強か? それを証明する。ジェイミーはすべてにおいて井上を上回っている」

 英国から世界王者が上陸して日本で防衛戦を行うのは史上初。ボクシングビジネスが活況の英国では世界王者が国外に出ることはほとんどない。マクドネルは、米国市場を睨んで、亀田和毅と2試合米国で戦い判定で連勝した経験があるが、後はほぼ英国内の試合。なのにわざわざ王者が日本まで出向いて防衛戦を行う理由をマクドネルは、「井上を倒して、この名をあげるため。モチベーションが上がっている」と説明した。

 公開練習は「ボクシング・サイエンス」のスタッフの指示の下、ゴムチューブを使った体幹トレーニングとストレッチからスタート。パンチを打つ際のポジションでの力の入り具合とバランスをチェックした後にシャドーボクシング、ミット打ち、サンドバッグ打ちを披露した。30秒から50秒の単位で綿密にスケジューリングされたトレーニングでミット打ちでは、最初は遠い距離からジャブとワンツーを中心に、続けて至近距離からフック系と続け、どちらの距離でもフィジカルで対応できる万能型ボクサーであることをアピールした。
 近くで視察した井上真吾トレーナーが言う。
「シャドーを見ると基本に忠実な正統派。映像通りの想定内の選手だった。気持ちがあるのは伝わってきたが、尚のスピードの方が全然、上をいっている。ついてこれないだろう。(マクドネルのパンチが)当たらないんじゃない? うまい感じはあるが怖さはないね。身長はあるが、相手に合わせて姿勢を下げてくるので大丈夫だと思う。スパーではもっと大きく構える相手の中に躊躇なく入ることができていたからね」

 大橋秀行会長も「スナップの効く打ち方をしているが、思った通りの選手だ。全部井上が上回っている」と自信のコメントを残した。

 そして、真吾トレーナーは「水をたくさん飲んでいたね。この後、練習をするのか、やってきたのか、余裕なのかわからないけど、細いというよりもガッチリしていたね」と、計量をクリアできるかどうかに疑問を投げかけた。
 晴れない疑念――。体重問題である。