昨年のダービーを制したのは2番人気のレイデオロだった。今年はどんなドラマが(写真・アフロ)

3歳馬の頂点を決める「競馬の祭典」日本ダービー(5月27日、東京芝2400m)の季節がやって来た。24日には、枠順が確定。2015年に生まれた6955頭の中で選ばれし18頭が生涯一度の大舞台に挑む。関係者の証言をまじえながら戦国と呼ばれるダービーを占ってみた。

世代の頂点を決める大一番だけに過去の歴代覇者を見ていると、いわゆる「天地馬」がそろっていた。様々なアクシデントを乗り越え、すべてがかみ合った馬が栄冠を手にしている。とりわけ必要なのは運。運だけで
は勝てないが、運がないと勝てないのが日本ダービーでもある。

その中で今回のダービーで最も「持っている」と思わせるのがキタノコマンドールだ。

 前日の単勝オッズは2番人気の8. 2倍(25日最終オッズ)。

 ここまで3戦2勝。主な勲章は、オープン特別のすみれステークス勝ちのみ。収得賞金は1400万円と本来なら予選敗退して不思議のないところ、堂々と本番に駒を進めてきた。

 では、なぜ晴れの大舞台に出走することができたのか。一般的にG1レースへの出走にあたってはトライアルレースで優先出走権をつかむこと、その次に収得賞金の上位に名を連ねることが条件となる。

 キタノコマンドールは4戦目となった皐月賞で大外から末脚を伸ばし5着だった。これが明暗を分ける。ダービーへの優先出走権は1991年以降4着以内となっていたが、今年から再び5着以内に拡大。この恩恵に預かったわけだ。しかも6着グレイルとの着差はハナ。つまり、昨年までなら出走権を得ることはできず、無理をしてでもトライアルレースに使うか、大一番を諦めるしかなかった。だが、これにより直行のローテーションが組め、調整にゆとりができる。実に大きなハナ差だった。

 実際、池江泰寿調教師は「コズミ(筋肉痛)気味で体質的に詰めて使えないところのある馬。6着以下だったらトライアルを使ってダービーという選択肢はなかった」と話している。

 新規参入した1口馬主「DMMバヌーシー」が初年度に募集したスター候補生。司令官や最高位を意味するコマンドールと命名したのは、映画監督でタレントの北野武と話題も豊富だ。2010年に、その北野武がフランスで叙勲した名称でもある。

 コンビを組むのは剛腕のミルコ・デムーロと役者もそろった。さらに血統面でも父ディープインパクト、母の父キングカメハメハともに日本ダービーの覇者という配合だ。広い東京コースが合わないわけはない。最高位を手に。大仕事をやってのける魅力がある。
 
 1番人気は1枠1番に入った4戦無敗の2歳王者ダノンプレミアム。単勝オッズは1.6倍。この馬もある意味、強運児かもしれない。4月の皐月賞は右前脚のザ石により直前になって回避することになったが、幸い症状は軽かった。ザ石とは蹄の炎症、内出血のことで走行中に後ろ脚が前脚の蹄底に当たったとき、あるいは石などの硬いものを踏んだときに発症する。重度の場合だと長期の休養を余儀なくされるが、ダノンプレミアムの場合は2週間後には運動を再開した。その後は日本ダービーまでを逆算し、4月27日から馬場入り、29日には坂路で4ハロン56秒9をマーク。 着実に段階を踏んでコンディションを整えてきた。

  2週連続で追い切りに騎乗した主戦の川田将雅騎手は「回避した影響は感じない。ダービーへ向け、我慢することを覚えさせてきた。距離はこなしてくれると思う」と好ジャッジ。休み明けを苦にするタイプではなく、中11週とレース間隔が空いたことにはナーバスにならなくていいだろう。