来年6月に静岡県の富士山静岡空港が開港10周年を迎える。設置権者の県は、空港運営の完全民営化を目指し、PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)法にもとづく運営事業者の選定を進めていたが、このほど三菱地所・東急電鉄グループを優先交渉権者とすることを決定した。今秋、運営権を設定し実施契約を締結した後、来年4月1日より完全民営化をスタートさせる。どう変わるのか。

三菱地所・東急電鉄グループが提案する20年後の富士山静岡空港のイメージ

 富士山静岡空港は2009(平成21)年に静岡県が設置した地方空港。現在、全日空(ANA)とフジドリームエアラインズ(FDA)の国内2社、韓国の格安航空会社、エアソウルや中国東方航空、北京首都航空、台湾のチャイナエアラインの国外4社の計6社が乗り入れている。

 国内路線では、新千歳と丘珠(北海道)、福岡、鹿児島、那覇、出雲(島根)、海外路線はソウル、台北のほか上海などの中国4都市との定期便が就航している。

 県によると昨年度の空港利用者数は67万人で、うち国際線の利用者が30万人近くにのぼり、地方空港ながら中国、台湾、韓国路線の利用者が空港利用者の半数近くを占めている。

 空港運営に関しては、静岡県内の主要企業と自治体が出資する富士山静岡空港株式会社がこれまで担ってきた。同社に対する県出資は14.4%にのぼっており、県は空港会社に委託料を支払う一方、着陸料収入を得て、空港会社は委託料と空港ビル事業等による収益で運営をしてきた。

 委託料と空港の維持管理費を合わせた県支出額は年間7~8億円にのぼり、一方で着陸料収入は2~3億円にとどまっている。このことから、県は毎年5億円程度を一般財源より支出して空港を運営してきたという。

 県は空港運営の「自立」を目指し、PFI法にもとづき新たな運営事業者を募集。選定された三菱地所・東急電鉄は富士山静岡空港株式会社の株式の80%を取得して空港運営を担うことになる。

 一方、県は県の持ち株を三菱地所・東急電鉄に有償譲渡するほか、既存の株主も一部株式を譲渡し、富士山静岡空港株式会社は、三菱地所・東急電鉄が80%、県を除く既存株主が20%の株式を保有する企業となる。