これまでアナログと思われてきた法務の世界にも、積極的にネットを活用しようという動きが出てきました。ネットが持つ特徴をうまく生かすことで、これまでになかったサービスが実現できる可能性があります。

enjinのホームページ

 株式会社クラスアクションは、集団訴訟を起こしたい被害者と弁護士をネット上でマッチングする集団訴訟プラットフォーム「enjin」をスタートさせました。

 これまで個人が訴訟を起こすのは簡単なことではありませんでした。その理由は費用との兼ね合いです。世の中では多くの詐欺事件が発生していますが、1件あたりの被害額はそれほど大きくありません。騙された本人にとっては、10万円、20万円でも大きな金額といえますが、弁護士に訴訟を依頼すると内容によってかなりの金額がかかってしまい、コストとの対比で割に合いません。

 被害者が自分一人ではない場合、集団訴訟を起こすという手がありますが、全国にたくさんいる被害者をうまく取りまとめることは至難の業といってよいでしょう。

 enjinのようなサービスは、こうした状況を解決する手段となり得ます。このサイトでは、被害に遭った人が、プロジェクトを立ち上げることができ、同様の被害にあった人の参加を募ります。一定数以上の被害者が集まると、サイトに登録している弁護士が紹介され、弁護団を形成することができるという仕組みです。

 ネットビジネスの世界には、販売数量が小さい商品でも、数を揃えることで大きな売上につながるというロングテールと呼ばれる概念がありますが、集団訴訟サイトは同じ考え方に立脚しているといってよいでしょう。被害額の小さな案件をネット上で網羅することで、ビジネスに乗るレベルの案件に育てることが可能となります。

 最近、ネット上の誹謗中傷に対して、泣き寝入りをせず、損害賠償などに踏み切る著名人が増えています。しかし一般人は、裁判費用などを考えて、訴訟に踏み切れないというケースも多いはずです。こうした誹謗中傷についても、ネット上のプラットフォームをうまく活用することで、有益な解決策を導ける可能性があります。

(The Capital Tribune Japan)