レスリング協会は栄氏のパワハラ行為を認定、謝罪を行っていたが、舌の根も乾かぬうちに、礼賛記事を公式HPに掲載した

日大のアメリカンフットボール部の悪質タックル問題が、大きな社会問題となり、いまだに収束に向かいそうにないが、その騒動の裏で沈静化していたレスリングの栄和人氏の五輪4連覇、伊調馨へのパワハラ問題に関して、とんでもない失態が起きていた。

 31日、日本レスリング協会の公式ホームページ上に「【特集】世界一を目指す選手との間に乖離なし! 明治杯での10階級制覇を目指す、至学館大・栄和人監督」と題する、第三者委員会によって「パワハラ認定」され強化本部長を辞任した栄氏を指導者として絶賛する記事が掲載されたのだ。

 この日は、内閣府への改善策などの報告書の提出期限とされている日。そのタイミングで、反省のかけらもない無神経な礼賛記事が掲載され、協会の公式ツイッターによって拡散もかけられた。

 この「乖離なし」のタイトルは、今回の日大アメフット問題の「指導者と当該選手の受け取り方に乖離があった」という日大の主張に重ねたようなもので、まるで、“栄氏は、日大の指導者のようには悪くないんです。パワハラ認定されましたが、そうじゃないんです”ーーと擁護しているような違和感を覚えた。

 しかも、この記事の筆者はレスリング協会の広報の人間。レスリング協会は、当初、「パワハラはなかった」という主張をしており、これも現在、まだ「反則指示はなかった」と主張している日大の内田前監督、井上前コーチに似ているのだが、レスリング協会が設置した第三者委員会の答申で、栄氏の4つのパワハラが認定されるにいたって、福田富昭会長は、「感触で言ってしまった。申し訳なかった」と、前言を撤回、謝罪した。この点は、今なお撤回もしない日大の姿勢とは、大きく違うが、こんな記事が出るところを見ると、主張の撤回は、うわべだけのものじゃないのか?との疑念さえ浮かぶ。

 だが、30日、午後1時頃、突然、記事が削除された。その記事のツイートだけは、しばらく残っていたというお粗末な対応だが、単なるミスでは済まされない大失態だ。
 
 削除された“とんでも記事”は、5月29日に至学館大レスリング部を指導する栄氏の一日をレポートしたもので、「ていねいな言葉で選手の気持ちを鼓舞した」と栄氏を絶賛。

「心労によって自宅静養を余儀なくされたのが3月上旬。今でも入院、あるいは静養していると思っている人もいるようだが、世界選手権予選となる明治杯全日本選抜選手権まで2週間と迫り、教え子の強化に力を注ぐ日常がやっと戻ってきた」と、噂も一蹴している。

「内閣府の調査は秋までかかる見込み。自身の協会内での身分も正式に決まっておらず、平穏とは言えない日々が続く。それでも、マットの上で汗を流す選手の目の輝きを見ると、立ち止まることはできない。自分を頼って教えを請う選手に夢を叶えさせてあげたい、という気持ちが揺らぐことはなかった」と、まで説明されていた。栄氏は強化本部長を辞任、続いて協会は栄氏を常務理事から解任する方針を固めているが、そんな処分などものともしてない、というような物言いだ。