23人の顔ぶれを見て、キープレーヤーとなるのは、やはり守備陣だ。初戦のコロン ビア戦では、ほぼボールは持てない。まずはしっかりと守備を固めて攻撃へ展開する形を構築しておかねばならない。守備陣で特に重要なのはセンターバックの踏ん張りになる。ガーナ戦では、長谷部をセンターバックに起用して3バックを試した。おそらくコロンビア戦を想定してのテストだったのだろうが、機能しなかった。

 この短い時間で連携を高めるには無理があった。両ウイングバック、特に右サイドの原口が上がりすぎていて、その裏があき、そこをつかれる場面も目立った。チームとして攻守のバランスを取ることができていなかった。3バックは、時に5バックともなるが、なおさら、攻守のバランスが重要で、「戻る」、「下がる」という作業が大切になってくるが、そこが機能していなかったのだ。

 ここまでやってきた4バ ックで細かい連携をつめていく方がベストではないだろうか。長谷部を守備的なボランチに配置して、バランスを取る仕事を任せた方が、守備への不安は解消するように思える。
 
 攻撃に関しては、ガーナ戦でも、大迫、武藤が決定的なチャンスを作りながらも決めきれなかった。日本の永遠のテーマとも言える決定力不足の問題を抱えたままロシアへ向かうことになる。ただ、攻撃に意識的に人数をかけていた。特にペナルティエリア内に人を入れた。あれも西野流だ。

インサイドで早くボールをまわして、両サイドからクロスを放り込み、ペナルティエリア内に全員で飛び込んでいくというサッカーである。エースがいない分、その形で攻撃チャンスを増やし前線の誰かが決めればいい、という考えなのだろう。

 いよいよ6月2日にチームは欧州へと旅立ち、スイス、パラグアイとの2試合の強化試合を経て、6月19日のコロンビア戦を迎えることになる。実は、この短期間にチームが急成長する可能性は十分にある。

 ようやく23人のメンバーが固まったことで、選ばれた選手は、ほっとすると同時に集中力が増していくものなのだ。幸いにして、日本人監督になったことで、選手とのコミュニケーションは、とりやすくなる。
 おそらく西野監督は、コロンビア、セネガル、ポーランド戦を、それぞれどう戦うかの戦術、戦略のイメージを固めているだろうから、その意図を選手に説明し、積極的にコミュニケーションをとって選手の理解度を深めさせ、細かい確認、連携を整備していけば、急ピッチで、チームの結束力が高まり、壮行試合でブーイングを浴びたチームから、まるっきり変化、進化することも可能だと見ている。
 南アフリカ大会で、岡田監督が、ここから短期間で大胆な戦術変更をしてチームを蘇生させた例があるが、何もあれは不思議ではなく、ワールドカップとはそういうものなのだ。

 西野監督は、ワールドカップで「すべての試合でポイントを取ってグループリーグを突破したい」としか言わなかった。理想を言えば、コロンビア戦は、引き分けで勝ち点「1」、セネガル、ポーランド戦で、それぞれ勝ち点「3」を奪い、グループリーグを勝ち抜けたいが、日本ーコロンビア戦の裏にあるセネガルーポーランド戦の結果如何で、その後の戦略も変わってくる。いっそのこと、コロンビア戦は捨てて、その後のセネガル、ポーランド戦にチームのピークを持っていくという戦略があってもいい。
 さあ23人のサムライは決まった。ここからは、もう前を向くだけだ。
 
 (文責・城彰二/元日本代表FW)