[イメージ]選挙ポスターの看板(写真:アフロ)

 今般、少子高齢化や過疎化が進む地方の小規模町村では、議員の成り手が不足しています。昨年5月、高知県大川村は議会を廃止することを表明。村長は議会の替りに総会を設置し、そのための調査を開始すると言及しました。

 大川村の村議会は定数6ですが、村長は次の選挙で6人もの住民が立候補する可能性は低いと判断。そうした事情を踏まえ、村長は有権者を代表する議員を選出する方式から、住民が一堂に介して議論する町村総会という方式に切り替えようとしたのです。

 住民が一堂に集まって議論する統治システムは、一般的に“町村総会”や“公民総会”などと呼ばれます。大川村なら、村民総会です。聞き慣れない町村総会という統治システムですが、地方自治法には条例を定めれば総会を設置できると規定されています。

 戦後に地方自治法が制定されて以降、議会を廃止して総会に切り替えたのは東京都の旧宇津木村(現・八丈町)の一例しかありません。ほとんど前例のない町村総会という試みを、大川村が打ち出したことで過疎や少子高齢化といった同じ悩みを抱える市町村から注目が集まりました。

 大川村の表明を受けて、地方自治体を所管する総務省は急遽「町村議会のあり方に関する研究会」を設置。有識者による議論を開始しました。また、高知県は大川村が議会を維持できるように支援することを表明。一連の動きにより、大川村の議会廃止は白紙に戻されました。

 今後も人口減少が続く日本では、これで一件落着とはなりません。人口減少がつづく日本では、今後も同じような市町村が続々と出てくる可能性は高いのです。

平成の大合併後、進んだ地方の過疎化

 大川村の議会廃止表明は、大きな波紋を呼びました。総務省は「町村議会のあり方に関する研究会」を設置し、2018年3月末までに7回にわたって議論を重ねています。

 人口減少が叫ばれて久しい日本では、以前から同様の事態が起きることは想定できたはずです。政府や総務省は、それらから目を背けていたわけではありません。

 1999年頃から、政府・総務省が主導して市町村合併を推し進めました。市町村合併は人口の少ない自治体のスケールを大きくすることで、市町村に体力をつけさせるとともに権限を移譲する狙いがありました。平成の大合併といわれる市町村合併では、1999年当時、全国で約3200あった自治体数は2010年までに約1700団体まで減少しました。特に、人口1000人未満の町村は、42から20にまで減少しています。

 しかし、若者が東京や大阪といった大都市に流入する傾向が強まっていたこともあり、政府や総務省が想定していた以上の速度で、地方都市の少子高齢化や過疎化は進展したのです。そのため、市町村合併で小規模自治体が減ったにもかかわらず、再び小規模自治体は増加。2018年には人口1000人未満の町村は30、人口1万人未満の市は3と、以前より小規模自治体は増えてしまったのです。