昨年巨人で118試合に出場、打率.262、14本塁打、58打点の成績を残している。
 3月9日に「NPB復帰への夢を託して」独立リーグの栃木に入団。5月初旬に右足太もも裏の怪我をしていたが、古巣巨人の3軍と対戦した5月12日の試合では、9回に代打逆転ツーランを放って存在感を示した。現在は、すでに故障も完治して、5月20日の福島ホープス戦からはDH4番で復帰、6月1日の武蔵ヒートベアーズ戦からは三塁の守備にもつけるようになり「4番・三塁」でスタメン復帰し、その試合で第2号を放ってチームの勝利に貢献した。ここまで19試合に出場して打率.316、2本塁打、14打点の数字を残している。昨年の推定年俸は、2億2000万円だったが、おそらくインセンティブでカバーする契約なら、そう経費はかからない。栃木に単身赴任しているほどだから関西も苦にならないだろう。

「期限としては7月31日。それまでに復帰があるのか、ないのか。僕が判断することじゃない。来てくれと声がかかればいく、かからなければいけないだけ」
 村田もどこでもOKの姿勢でチャンスを待っている。
 
 阪神は、村田を獲得すべきか、それとも見送るべきか。
 実際、阪神内でも村田の名前を出す向きがあり議論もされた。だが、結局「ロサリオの代わりに村田」という具合に煮詰まっていない。現状は獲得を見送る方向で固まっているようなのだ。トップダウンの強行指令でも下りてこない限りフロント側からは動かないだろう。

 阪神は、2年前に金本監督が就任後、「超変革」の名の下、若手育成に舵を切った。その年、高山が新人王を獲得して、北條もショートのポジションを奪いかけた。昨年は、中谷が20本塁打をマークした。大山も、昨年後半に4番に抜擢されるほどだった。だが、彼らは、その後、伸び悩み、一向に一本立ちする若手が出てこない。そこが大問題であり、その理由をフロントがしっかりと分析しておかねばならないが、今ここで37歳の村田を獲得することは、この2年、貫いてきたチーム方針にぶれが出ることになる。

 あくまでも右の代打要員として今春キャンプから村田をチームに加えていたのであれば、まだしも、ここにきて「若手が育たたないから村田」では、この2年が無になるし、チームビジョンに疑問を投げかけられるだろう。3番の福留が41歳。4番の糸井が36歳。そこに糸井よりひとつ年上の村田が加わってクリーンナップを形成することは、金本監督が我慢し続けてきた若手育成という大命題に反することになる。

 一方で優勝を狙うためには「背に腹はかえられない」という人気球団、阪神が背負う宿命論も否定できない。先日のソフトバンク戦では、3点差で負けている9回にお客さんが大挙して球場を去った。今の阪神打線に3点差がいかに重いかを知り尽くしているファンが愛想をつかしたのである。

 対照的にメットライフドームでは2日、阪神に5点差をつけられていてもファンは席を立たなかった。最後の最後まで何があるかわからないという期待感が西武打線にはある。要はファンに夢を抱かせる面白い野球を金本阪神はできていないのである。

 果たして村田が、その夢を抱かせる存在か否かの議論もあるだろうが、各球団の編成が“終わっている”と判断していた松坂大輔が中日で見事に復活してチームを活性化させた例もある。いずれにしろ阪神のフロントには補強という形で金本監督をバックアップしている努力の姿をファンに示す義務があるだろう。

 

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