政府は来年10月の消費増税に備え、大型の予算を組む方針を固めました。6月にまとめる経済財政運営の基本方針(いわゆる「骨太の方針」)に盛り込む予定です。景気刺激策を実施することで消費増税による影響を軽減しようという試みですが、果たしてうまくいくのでしょうか。

写真:アフロ

 本来、増税というのは景気にそれほど大きな影響は与えないと言われています。増税によって政府が徴収した税金は、政府支出という形で国民に戻ってくるため、全体的に見れば所得が増えるからです。しかし、税金が上がってしまうと、消費者の心理は冷え込みますから、経済が弱体化した状態で増税を実施すると、景気にマイナスの影響を与えることになります。2014年4月に実施された消費税の8%への引き上げでは、その後、景気が大きく落ち込んでしまいました。

 今回はこうした事態が起きないよう、財政出動を強化し、増税によるマイナスの影響を緩和しようというわけです。消費税の増税によって政府は5~6兆円の税収を確保できますが、軽減税率の適用などがあるため実質的な歳入増は3兆円程度になる見込みです。一部からは、この規模に匹敵する景気対策が必要との声も上がっていますが、一方で効果を疑問視する意見もあるようです。

 消費増税に否定的な立場の人は、増税分を景気対策でバラ撒くのであれば、そもそも消費税の増税をやめた方がよいと考えています。一時的な措置とはいえ、そこまでしなければ増税を乗り切れないのだとすると、増税をしないという選択肢が出てくるのも当然でしょう。

 一方、財政規律を重視する立場の人は、今回の景気対策の実施によって財政規律が緩み、財政赤字の拡大につながることを懸念しています。政府は2020年までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するという公約を事実上、撤回した状態にあり、財政に対する歯止めが効かない状況となっています。ひとたび拡大した予算を縮小するのは容易ではありませんから、今後、なし崩し的に大型予算が続く可能性も否定できません。

 さらに困ったことに2020年には高所得のサラリーマンに対する増税もスタートし、ますます消費者の懐がさびしくなります。頼みの綱である米国の景気は今のところ順調ですが、もし輸出が低迷するようなら、前回と同様、景気が腰折れする可能性が高まるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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