カンヌ最高賞の是枝裕和監督が会見

 先月、カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した「万引き家族」の是枝裕和監督が、6日午後8時50分から外国特派員協会で記者会見を行う。

 日本人監督のパルムドール受賞は、1997 年の今村昌平監督の『うなぎ』以来21年ぶり。また、是枝監督作品としては5回目のコンペティション部門出品にして、初めてのパルムドール受賞となった。

 今作は、東京の下町を舞台に、万引きなどを繰り返して生計を立てる一見慎ましやかな「家族」の姿を描いた物語。6月8日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか、全国で公開される。

 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「【中継録画】カンヌ最高賞「万引き家族」の是枝裕和監督が会見 」に対応しております。

【中継録画】カンヌ最高賞「万引き家族」の是枝裕和監督が会見

映画に対して日本の貧困問題に関する質問が集中したことについて

司会:はい。それではここからはフラッシュをお控え願います。1問目は【キャナヤ 00:02:53】さんからいただきましたけれども、きのう監督ご自身のブログで、非常に示唆に富む思慮深い投稿をされたと思いますが、作品に対する批評であったり批判であったりについて言及されました。そして、この周りを取り巻く政治的なあれこれ、あるいは自分自身が考えていることよりも、むしろ映画のほうの内容に集中したいというような旨のことを書かれてたと思うんですけれども、私からの質問としては、西洋のほうでの、この映画に対して、西洋の観客の皆さん、そしてジャーナリストの皆さんからは、この日本の貧困問題に関してやたらと集中した、そういった意見や質問が多かったようなんですけども、これに対して監督ご自身のお考えはいかがでしょうか。

是枝:はい、こんばんは。こんなにたくさん、夜遅くに集まっていただきましてありがとうございます。あまり僕自身はそれほどこの映画が社会的、政治的な問題を喚起するような、それを目的として作品として創ってはもちろんいないので、そのようなリアクションが起きると思ってなかったんですけども。特にカンヌにいる間に来たジャーナリストの方たち、授賞式のあとの審査員の方たちとの話し合いの中で一番出てきたのは、純粋に、純粋と言っていいかどうかちょっとあれですけども、演出と役者とスタッフ、全ての調和が取れていたっていう、まずそのことをすごく褒めていただいた、それが何よりうれしかった。

 特にやはり、今回は審査員の中に女優さんたちがたくさんいらっしゃいまして、その女優さんたちがこぞって今回の映画に出演されている女優たちを褒めてくれていたっていうのが、僕は本当に心の底からうれしかったです。まずはそこまで。

 2000年代に入って、頻繁に海外の映画祭に参加をするようになりましたけれども、そこで一番言われたのは、日本映画には社会と政治がないっていう。なぜだっていう。そのことをある種、批判的に言われたことがありました。おそらくその状況というのは、特に国際映画祭に参加をするような日本映画の中にあまりきちんと、そういう日本の政治状況とか社会状況っていうものを取り込んだ、題材にしたものが、ないとは言いませんけども、それほど多くなかったというのは現実だと思います。それはやはり、そういう作品が興行として成立しにくいという判断を、日本の、あえて言いますけれども、大きな配給会社がしてこなかったからだと思います。

 でもこれは本当です。企画を提出しても、ちょっと重たいんだよなとか、まずそういうジャッジをされて、企画が進まなくなるという状況が頻繁にありましたから。その状況は、やはり、海外の映画祭に行くと、欠点とまでは言いませんけれども、やはり日本の映画の幅を狭くしているなというのはすごく自覚していました。

 ただ、僕自身が非常に2000年代後半から、しばらくファミリードラマというものにこだわって、むしろ政治的な状況とか社会的な状況は背後にして、後ろのほうに下げて、家の中の問題を自分が父親になって切実な問題を、狭く深く掘ってみようという時期がちょっと意識的に続けたもんですから、ここ2作、自分の中で少しファミリードラマにピリオドを打って、社会性とか現在の日本が抱えてる問題というのの上に家族を置いてみて、そことの接点をどういうふうに描くか、そこで起きる摩擦にどう目を向けてみるかということをやってみたいと思った作品を創りました。それが今回の作品、一番大きな、今までの作品と違うところだと思いますけれども。なので、その部分に上映後のジャーナリストたちの質問が、いつもに比べると多少多かったかなというふうな実感を持ってます。

 ごめんね、長くて。もう1回、もうちょっと続けるからね。すぐ終わる。

 たぶん、21年ぶりでパルムドールということもあって、たぶん、僕が思ってた以上にこの映画がいろんな場所で取り上げられて、普段、映画について語らない人たちもこの映画について語るような状況が、今、起きているもんですから、一部で何か、僕と僕の映画が、物議を醸しているような状況にもなっているんですけれども、それはこの映画が、そういう意味で言うと、通常の1本の映画が公開されて劇場で見られていくという通常の枠を超えて、多くの人のところに届いているんだなというふうに、個人的にはすごく前向きに捉えているんですけど、以上です。

司会:(英語)

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